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東北関東大震災で、今東日本は大変な事態に陥っている。
特に2次被害とも言える東京電力福島原子力発電所に関して、「かなり深刻な状態だな」と思う。
実は私は(日本には3社しかない)原子力発電所の建設能力を持つ、ある電機メーカーに勤務していた時期がある。
もちろん私は原子力発電所の専門家ではではないし、その設計技術者でもないし、原子力発電所建設の営業を担当していた訳でもない。ただ自分の勤務している会社が製造している設備として接したことも多く、少なくとも一般の方より原子力発電所について知識があると思うので、この記事を書くことにする。
(ロシアについてはよく分からないが)日本や米国の原子力発電所の製造技術及び品質は、世界的にも評価されており世界のトップレベルにあることは間違いない。
どのような機械でも、それが故障して人命に関わるようなことがあれば、それはメーカーとして大変なことであり、メーカーとしての製造責任が問われることになるのも、全てのメーカーの共通認識である。
中でも原子力発電所は、そこで事故・トラブルが起こった場合、(放射性物質を燃料としている為)一般の機械とは比べ物にならないほど大きな影響があることを、原子力発電所メーカーの人間は承知している。
だから原子力発電所については何重にも厳しい安全基準が定められており、メーカーの機器製造基準でも「過剰スペック」と言っていいほど余裕を持った設計がなされ、その基準に沿って機器も製造されている。
福島原子力発電所の問題についても、(最も守られねばならない)原子炉の格納容器自体は、今回の地震にも津波にもビクともしなかったし、仮に今回以上の地震が来たとしても耐え切れたはずである。
ここまでは良かったのだが、問題はその後福島原発が自動停止し、原発自体への電源供給も止まった。この場合、(原発としては補器である)非常用発電機が起動して発電所への電源供給を守るはずであった。ところが今回のケースでは、非常用ディーゼル発電機は、一旦起動したのだがその後何らかの理由で停止してしまった。この結果冷却水を送る事が出来なくなり、燃料棒の冷却が出来なくなった為、(放射性物質の拡散の可能性という)現在の危機的な状況を作り出したのである。
今回の問題の全ての原因はここに集約される。放射性物質が格納されている原子炉本体に重大な欠陥があった訳ではないのである。
東京電力は日本最大、また世界でも有数の電力会社である。
(正直に言うと)前述の電機メーカーに勤務している人間にとっては、東京電力は絶対逆らえない「神さま」のような存在であった。
であるならば、東京電力はそのトップ企業としてのプライドにかけても、現在の危機的状況を何とか乗り切って欲しい。
この問題が起こった直後、TV等で見た東京電力の対応は相当に混乱しているように見えた。「想定外」という言葉は言い訳にならない。重要なライフラインである「電気」の供給を守る為にも、東京電力は頑張って欲しい。
またTV等に登場する東京電力の幹部の方は、言わば「お偉いさん」であって、東京本社から指示を出し、また現場からの情報を集め、TV報道番組で情報提供をしている立場の方である。
しかし、(これは是非言っておきたいのだが)TV映像にこそほとんど現れないが、「現場」で仕事をしている福島原発の職員・製造メーカーから派遣された技術者・そして実際に作業をする作業員(下請けも含む)・自衛隊・警察の方々等の「現場」の人たちは、これ以上深刻な事態にならない為に、自らの被曝のリスクも背負いながら、今必死で努力を続けている。
東北関東大震災で被害を被った原子力発電所の復旧についても、今そうやって頑張っている人たちがいる。
その人たちを信頼し、我々も(報道等で流される)ある意味不確実な情報に惑わされることなく、また日常生活でもパニックに陥ることなく、皆それぞれの立場で、この大震災に対して今自分が出来ることをしようではないか。
頑張れ、東京電力!
頑張れ、東北!