このコロナ禍で、折角個室をとっても面会が出来ない。

少し癖のある父ゆえ、大部屋で過ごせる訳はないと思うが、1人だとそれこそ退屈だろう。

その証拠に事務所にバンバン電話を掛けてくる。

 

まぁ私の電話を代わる事はほぼなく、必要な事があれば携帯に直接かかってくるか若しくはlineが入ってくる。

 

やはり心配なのが抗がん剤の副作用だ。

出来る事なら最初だけでも楽でいさせてあげたいと思う。

 

初日から何らかの副作用が出る方もおられるそうだが、父親は今の所特に変化は無いという。

少なくとも本人はそう言っている。

 

ドクターからは1週間ほどしたら少しずつ出るかもしれないと言われているらしい。

私が少し調べた範囲でも、まぁボチボチ出てくるのは1週間ぐらい経過してからのよう。

 

あまり色々出なかったらいいのにな。

ここ数年来、今後に備えて墓地を探していた。

 

うちは本家が寺なもんで、本家筋には大きなお墓はあるのだが、分家のうちは自分で墓を建てねばならぬ。

若干浮世離れしている母親が好き勝手に希望を言うのでナカナカ決まらずにいたが、ちょうど市営霊園の募集が出たのでそこに申し込む段取りをしていた。

 

しかし今回の父親の小細胞癌の告知だ。

もう墓地探しがいつかの時の為ではなく、一気に現実的なものとなってしまった。

父親がもう募集のパンフレットを見るのも嫌がるようになった。

 

まぁそらそうだろう。あまりにリアルすぎる。

自分自身も生命保険の死亡保険金の額を決める際、カミさんが色々金額を言うのを聞いていたら気分が悪くなってきたことがある。

何か自分の命の値段を決められているような気がしたのだ。

 

リアルすぎて嫌なのだが、どうしても探さねばならぬ。

市営墓地の担当者曰く、倍率は時として10倍を超える時もあるらしい。

 

マジか~。

 

うちはホント、近々に必要になりそうなのでここは譲っていただけませんか・・・・という訳にもいかぬ。

現地に行って希望の場所を探して、さっさと申し込まねば。。。。

月曜日9時に父親は入院そして生検他の検査。

翌日火曜日に、結果とその後の治療方針等を聞くために家族が呼ばれた。

 

このコロナ禍、元来は患者一名に対し家族一名らしいが、そこは父親が押し切り、母親と私達息子二人の三人が説明を聞く事が出来た。

 

まぁそれが許されるぐらい状態が悪いと言う事なのかもしれないと心の中では思っていたが、口には出さずにいた。

 

既にかなりシビアな言葉で現状を伝えられていた為、今回の説明でそれほど個人的にはショックはなかった。

小細胞肺がん、ステージⅣ。

とれる選択肢に外科的手術も放射線治療もなく、化学療法一択である事が伝えられただけだ。

それも、自身の予習で大体理解していたのため、それほど動揺はなかった。

 

現状を全く理解していない弟は、質問を列挙した手帳に最初に書かれていたワードに「病名は?」なんて今更な事が書いてあったが、これぐらい呑気な方が良いのかもしれないな。

 

父・母・弟がひとしきり質問した後、私に振られたので聞いてみた。

 

「仕事にも戻れますか?行き返りは私が車で送迎します。QOLを下げずに過ごせる期間はどのくらい?」

 

今までの質問には適当とまでは言わなくても、軽く答えてくれていたDr.だったがこの質問には私の方を向いて答えてくれた。

 

「通勤を伴う仕事は、もう無理だと思ってください。ただ車で送迎され、少し指示だけ与えてすぐに職場を離れると言う事ぐらいなら、出来るかもしれません。このコロナ禍です。散歩ぐらいななら兎も角、通勤レベルは止めて下さい。」

 

この言葉は父親にはショックだったようで、落ち込むというよりは若干興奮状態になっていった。

延命措置はしたくないとか急に言い出す始末。

 

「今から行う治療は、大きな意味では延命措置ですよ。何もしなければもう月単位です。これからは人それぞれの経過です。諦めずに頑張りましょう」

 

今は色々とハッキリと言うんですね。私はそれはそれで最初はショックだったけど、今となっては少し落ち着いてきましたよ。