$たけぼんだぬきのブログ-春の花


霞の空に 春風冷たく

君と歩く 遊歩道

互いに 手をつなぎ

春の 香りに誘われて

小川のせせらぎ

耳に心地よく

交わす会話に

花が咲く


近くの神社まで

もう少し 願掛け参りは

信じない

その杜が素敵だから

時間を忘れて ゆっくりと

話が出来るから


ふと気づいた 清めの水

もう懐かしく感じる

古ぼけた 井戸の手押しポンプ

まだ あらゆる井戸で使われてる

小首をかしげた そのポンプに

可笑しくなって ふきだした


何を考えているんだいと

声をかけたくなる

早くベンチに座ろうよ

せかすように握った手を

ひっぱるようにして

僕をせかす


君が作った手弁当

早速食べたくなったよ

そうつぶやいて

杜の中のベンチに

腰掛ける


今日は ちょっぴり

風が強いねと 僕が言う

うんと頷く君

目の前の 砂が

神社の土の上で

くるくる渦を作る


白雲 曇る空に

一羽の 渡り鳥

綺麗な円を描いて

飛んでいる


神社脇の池の水

風に煽られ 波打って

二人の仲を冷やかすように


肌寒い 春の日

羽織った コートを

二人で分けて

くっついて 弁当を食べる


風に驚いたのか

冷やかしたのか

いつのまにか

一羽のカラスが

頭上を舞って

カアーカアーと

やかましく騒ぐ


きっと弁当を狙ってるんだ

と君が囁く

あぁ なるほど

僕はただ 君の話に

感心して頷いていた


何を感心してるの

早く食べちゃいましょう

あぁ と言いながら

いつも君の判断力には

頭が上がらぬ


カラスに せかされ

慌ただしく 弁当を食う

これじゃあ 会話も

あったもんじゃない


それでも 僕は

君と居る時間が

大好きさ

楽しいのさ

ワクワクするのさ

大切な時間だから


足元に 春の野草

小さな小さな白い花

いたずら 春風に

踊ってた

僕の心のようにね



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桜三月散歩道/井上陽水

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