こんにちは、鶴岡です。
秋ですね。
秋なんですが、残念ながら私は季節を問わず
本をまあまあ読みますし、食欲も落ちませんし、
ジョギングもいたします。
「何の秋」にいたしましょう?(笑)

そんなわけで少ないですが、最近読んだ本です。

紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている/佐々 涼子

¥1,620
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活字が好きですし、印刷業に従事していたことも
あったものですから、このノンフィクションはずっと
読みたいと思っていました。

工場の方々が静かに語るあの日の記憶の積み重なりに、
東日本大震災の被害の大きさ、凄惨さを、改めて思い
知らされることになりました。

日本製紙石巻工場で働く方々の仕事に対する矜持が
ずしりと伝わってきます。日本の出版を支えているだけ
でなく、工場の復興がなければ、石巻全体の再生も
ありえないのだという思い。
一人一人(身内や家を失った人もいます)のその思いが
収斂して、被災から半年で再稼働という無謀な目標を
実現させました。
半年と期限を切った工場長の判断力と勇気に畏敬の念を
覚えます。

当たり前に働けることの有り難さを痛感します。
虹の岬の喫茶店 (幻冬舎文庫)/幻冬舎
¥700
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吉永小百合さん主演で上映中の
「不思議な岬の物語」の原作です。
美味しいコーヒーが出てくる、モデルとなる
喫茶店が千葉県鋸南町にあるということで、
コーヒー好きの御宿育ちの私としては、とても
親近感が湧いてしまって。

出来すぎなくらいハートウォーミングな
連作短編です。
何かを失った人がこの喫茶店を訪れると、
抱えてしまった空虚を、店主の老女の淹れる
温かな琥珀色の液体が満たし、癒してくれます。

映画でいうと吉永さんと鶴瓶師匠の役どころだと
思われますが、年配の男女の恋物語が
いちばんぐっときました。「ラヴ・ミー・テンダー」。
にゃんそろじー (新潮文庫)/新潮社
¥637
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編者は中川翔子。
アンソロジーは、普段は積極的に手に取らない
文体に触れることができて、好きです。
しかも猫。うれしいじゃないですか。

これまで取っ付き難いなあと思っていた作家の
文章も、猫について書かれていると、すっと入って
来るから現金なものです。

感じたのは、愛猫の死を描写している話が多いこと。
老衰だったり事故だったりしますが、お別れを
きちんと書いているな、と。

中川翔子は意図的に死をテーマ選んだのか、
それとも10歳を迎えた愛猫と50を目前にした
自分の行く末を意識することが多くなった私の
思い過ごしか。

それでは。