滋賀県高島市のくさぶえ冠句会の文月輯に私が投句したものを、代表の中村白桃宗匠から添削ご指導を頂きましたので、皆様の冠句の作成時のご参考になればと、恥かしながらご紹介いたします。
「 」内は冠題です。
① 「土用干し」 お天道様の手を借りて
一年の春・夏・秋・冬にそれぞれの四季の土用があり、その期間は18日間です。今年
の夏の土用は7月19日からでした。晴天の日を選んで衣類や書物を風入れし湿気や虫を
はらいます。虫払い、風入、曝書の季語があります。
この句は、何を干しているかは語られていませんが、冠句は決して説明を必要としませ
ん。
四季ある暮らしの中で晴天に感謝する一句。特に下五の「手を借りて」の表現が素直で、
ていねいな暮らしを感じる作品です。
② 「声弾む」チャイムが鳴れば各部屋で
この下五が中途半端で何が起こっているのか、はっきりしません。もう少し整理しまし
ょう。チャイムが鳴って客が来たのです。中七を種明かしする付句の方法。
『声弾む 待ち人来たりチャイム鳴る』
種明かし=結果を付けると句が落ち着きます。
白 桃