岡崎琢磨『珈琲店タレーランの事件簿6 コーヒーカップいっぱいの愛』
奥様の愛があなたにはわかりますか?
今回も長編モノ。
そして、最初からガンガン裏切られます。騙されます。覚悟してと言っておきましょう。
かつて、奥さんが激怒して1週間家出したことありました。
けど、おじいちゃんはなんでそこまで怒るのか理解できず、聞くこともできないまま…
奥様は亡くなってしまいました。
そこで、美星さんに調べてほしいとお願いします。
調べていくと、家出した1週間にある男性画家と会っていたことが判明…。
もしかして、奥様は浮気をしていたのか?という風に調査が進みます。
そして、今回新たに登場するのがおじいちゃんの孫・小原ちゃん。
この小原ちゃん、正直かなり曲者です。
そして、今回気付かないうちにいろいろ騙されます。
でも、約束します。
読後、久しぶりの爽やかで温かい気持ちになれます。
今回もおじいちゃんと奥様の想いが中心となりますが、こんなにも人を大事に想い、想われることが幸せなことかが、ひしひしと感じます。
それは夫婦間でも、友達関係でも、親子でも、他人だろうと…。
藻川おじいちゃんの愛、奥様の愛、画家の愛、それぞれに特別でかけがえのない思い出と感情があることを。
また、それらの愛はいろんな人に自然と受け継がれていくものというのを感じ取れて、人を愛する、大事に想う事の素晴らしさを確認できました。
コレを待っていたんだよ!と思わず、叫んでしまうほど。
謎解きと伏線回収が秀逸ながら、登場人物のそれぞれの感情のゆらめきも丁寧に書かれていて、ほんと面白かったです。