住野よる『青くて痛くて脆い』
あまりの青さ、痛さ、脆さに居たたまれない

 

 

『青くて痛くて脆い』という題名から、青春時代の切ない恋愛話か?夢見がちな学生の話だろうか?と思ったら、全然違いました


突然ですが、あなたが大学生の時、どんな失敗や恥ずかしい経験をしたことがあるでしょうか?


私は今思えば、子どもでもなく大人にもなりきれていない中途半端な時期だったなと思います。


ある程度常識や知識もあって、バイトでお金を稼ぐこともできて、一人暮らしで生活力も少しずつついてくる。


高校生までの自分と違って、大人に限りなく近づいた自分に変な自信があった気がします。

 


この本も、そんな中途半端な大学生時代の話。


自分の考えや行動に自信が生まれ、主張し始める時です。


主人公の田端楓に、とても共感する部分が多かったです。


「これはこうだろ」「こうすることが正しい」「こうしてあげるのが、この子のため」と思いがちなことに、わかりみが深く感じる。


そして、傷つけられたら傷つけるのは当然の権利と。


自分が見て聞いたものは絶対と。


以前、ドラマで「事実は同じでも、人によってその事実に対する真実は違う」というセリフがあったのを思い出しました。


まさに、この小説でそれが起きます。


同じ事実でも、立場によってその人が思っていたことが違うのです。


そして、お互い傷つけられ裏切られたと感じたのです。


もし、あの時きちんと話し合っていれば。


もし、あの時あの人はどう思っているんだろうと思いやれたら。


若いからこそ起きる「イタさ」が詰め込まれています。


この未熟で痛い経験、脆い自分を見つめることで、田端楓はある変化をします。


どうぞ、何が起きたのか見てみてください。