みなさま「京大式カード」というものをご存じでしょうか。
アイデアや思いついたことなどなど、とにかく何でも「カード」に書いて「整理」するという手法です。スマホが主流になった現代ではあまり見なくなりましたが、一時は京大のみならず日本中を席巻した学習法だったのです。
かく言う著者の梅棹さん、学生時代はカードではなくノートにいろんなことを書き込んでいたようです。どうやら当時梅棹さんの周りでレオナルド・ダヴィンチよろしくノートを携帯することが流行っていたのだそう。
しかし梅棹さんは気づいたのです。ノートではページを差し替えたり加筆したりすることが難しいと。
じゃあルーズリーフ使えばいいじゃん、Evernote使えばいいじゃん、とあっさり解決してしまう時代ではありません。梅棹さんは考えました。そして思いついたのです。
ノートでなくカードを使おう!
B6サイズの特注カードを使用し、フィールドワークで見聞きしたことや日常のアイデアを書き綴り、膨大なカードをファイリングする。そうすればノートを使っていたときよりうんと情報を運用しやすくなったのです。
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と、ここまではこの本について語られるときによく出てくるお話。
個人的に驚いたのは後半にちょこっとだけ書かれていた内容です。
当時は学校で文章力についてまったく教えていませんでした。というか今でも教育していないと思います。文章の分野である国語で教わるのは小説や論説文を「読む」ことであり、肝心の書き方はノータッチです。この一因として、国語教師のほとんどが文学畑出身であることがあると述べています。
では文章力はどこで学ぶべきでしょうか。
国語は情報をインプットすることで精いっぱい。今まで文学を学んできた先生たちにいきなり「学生に論文の書き方を教えてやれ」って言っても無茶でしょう。運動のしたことない先生が野球の顧問になるようなものです。ちょっと違うか。
さて、梅棹さんは以下のように提案しています。
情報工学の分野で学べ。
……どうでしょう、理系のみなさま。私は文学畑の人間なので詳しくは分かりませんが、みなさまに文章のことをお任せしてもいいでしょうか。
この本が出版されはや幾十年、まだまだ文章力についての問題は解決されていません。いつかまるっと解消されることを祈りつつ、今回はこのへんで。お読みいただきありがとうございました!
以下リンクです。
知的生産の技術 - 岩波書店 (iwanami.co.jp)