お前のようなババアがいるか

ちょっと前、ムキムキおばあちゃんと恋愛を楽しむソシャゲが流行りましたねこんにちは。

そういうゲームのおばあちゃんってとにもかくにもムキムキなんですよね。ジジイと見まごうばかりの筋肉ラブコメディー、それはそれでよかったのですが、個人的には弱ったおばあちゃんを看取る悲恋系恋愛ゲームもやってみたかったです。

 

ところで、実際にムキムキばあさんっているんですかね。道行くおばあちゃんって総じて年相応な体つき・やせ方ではあるのですが、実は脱いだらすごいとかあるんでしょうか。ムキムキおじいさんはそれなりに見かけるので不思議ですよね。有識者の方、どなたか教えてくださると幸いです。

 

ー-------------------

 

世の中にムキムキおばあちゃんは少なくて、もしかして面白ネタとして扱われているだけで、ネタじゃないムキムキおばあちゃんは都市伝説なのか?でもどこかにいるに違いない!と探して、ありました。ムキムキおばあちゃん本。山本甲士さんで「ひかりの魔女」です!

 

 

うむ?言うほどムキムキか?めっちゃ可愛いおばあちゃんじゃん。たしかにポーズはマッスル感があるが……と不安になりながら読みました。

 

ー-------------------

 

さて。このムキムキおばあちゃんの全貌をご覧いただこう。

このおばあちゃんはかつて書道の先生をしていた、齢八十五、米寿の熟女。初登場では腰を丸めて特急列車からのんびり降りて、いかにも「体が弱り切った後期高齢者」感満載で登場。ああやはりムキムキおばあちゃんなど幻想にすぎなかったのか、と嘆きかけた、そのとき。

 

背筋が伸びた。

 

ええ。助けてくれた青年がいなくなったとたん、背筋が伸びました。

え、ちょ、どういうこと?とおばあちゃんを迎えに来たひ孫・光一を差し置いて、おばあちゃんはスタスタと元気に階段を昇るではありませんか。しかもノー・手すりです。彼女の後ろ姿を見て、光一はある生き物を連想します。

 

アヒル

 

※参考画像

 

パンパンに肉のつまったお尻から太もものライン。なのにまったくだらしなく見えないのは、それはウエストが太くないから。つまり、プリっとしたプリけつだったわけですね。プリけつババア。新しいジャンルです。

そしてお尻を鍛えたことのあるレディにはお分かりでしょうが、プリけつを手に入れるのは容易なことではありません。若いころならいざ知れず、肉が重力に従い、「むっちり」から「だるん」に肉質が変わった瞬間から、プリけつは夢のまた夢になるのです。

だが、見よ!参考画像を!そしてこの熟女のケツを!ぷりぷりしている!これは相当に鍛えていないと手に入らないもの。イコール、下半身ムキムキババアなのです。

 

ー-------------------

 

そんな下半身ムキムキおばあちゃん、通称「先生」は何者なのか。

それは日夜「立禅」という修行に励み、顔がむやみやたらに広く、やたら美味いおにぎりとおかずを生成する、穏やかなおばあちゃんです。もちろん感情的に癇癪を起すこともなく、どころか孫やひ孫をしかりつけるわけでもなく、病気にかかって命の危機に瀕するわけでもない、いたって普通のおばあちゃんです。ただ、顔が妙に広いだけで。

おばあちゃんを慕う元書道の教え子はいたる界隈にいます。

それは魚屋のおばちゃんから大企業の役員にいたるまで多岐にわたり、その誰もが「私は先生に一番かわいがってもらっていた」と胸を張るほど。うそやん、と光一は読者を代表して胸中突っ込みますが、本人たちは本気でそこまで先生を愛しているわけです。

 

ー-------------------

 

じゃあそんなひ孫・光一はどんな人間なのか。

 

どうしようもないやつです。

 

浪人生のくせにろくな勉強もせずゲームや漫画をたしなみたい放題、「ばあちゃんの財産があれば私立大学にも行けるな」と目論んで(これは失敗に終わりますが)、家が危うくなっても「妹は最悪キャバ嬢になれるとして俺はどうしよう」などとゲスいことを考える始末。ええ、どうしようもないです。

しかし実際に家が危ないのも事実で、父親はリストラ候補、母親はパート先を追い出され、妹は補導。そしておばあちゃんの居候。光一、一世一代の大ピンチに陥るわけです。

 

そこで登場するのが、おばあちゃん。

このムキムキおばあちゃんが自前の健脚と顔の広さと人たらしでこの家を救おうと立ち上がります。お尻むっちりおばあちゃんはこの家を救えるのか。いや救えないわけはないよな、脚ムキムキだもんな……と思いつつ、ぜひ結末を見てやってください。

 

ー-------------------

 

ところでどうしてこのおばあちゃんがここまで心穏やかなのか。少し考察をしてみましょう。

キモはやはり特殊なトレーニング「立禅」で得たムキムキ筋肉にあるのだと思います。とあるシーンでは厚さ2センチの杉板を触れただけで割る熟女です。つまり、そんじょそこらの熟女とは一線を画す存在なのです。

そして筋肉があると何を得られるか。

 

強靭な精神

 

ですよね!

マッスルな体を手に入れたことで、このおばあちゃんはマッスルな精神を手に入れたわけです。よく「筋肉をつけると自信がわいてくる」っていいますよね。それゆえおばあちゃんは、強靭な精神を保つことができるのでしょう。

 

つまりこのおばあちゃんのようになりたければ体を鍛えろ!ということです。これは私の持論ですが。

 

しかしわかっていてもここまで努力するのは無理だよう……怠けていたいよう……とどうしようもない発言をここに書き留めつつ、今回はこのへんで。お読みいただきありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

ー-------------------

 

以下リンクです。

 

Amazon.co.jp: ひかりの魔女 (双葉文庫) eBook : 山本甲士: 本

 

 

 

内容

浪人生の真崎光一は一日中家にいる。そこへ祖母が同居することになった。小柄で温厚で普通のおばあちゃん……と思ったらなんだかめちゃめちゃ多くの人に慕われてるし!? 周囲の問題解決してるし! たちまち家庭の状況も好転してるし!! うちのばあちゃん、一体何者!? ばあちゃんにひっついていた光一だけが目にした奇跡の数々。これぞ痛快、スーパーおばあちゃん小説!