まるで遊園地みたいだな

そのフレーズがもっとも似合う(と個人的に思っている)場所、それがカフェ

この前も古書カフェの小説をご紹介しましたが、そのときにも熱弁していたように、私は根っからのカフェ大好き女です。コロナが流行る前にはコーヒー一杯で何時間も粘ったりしたものです(店員さんごめんなさい)。学生時代にはキャンパス周辺のカフェや喫茶店を行き尽くし、「コーヒーの美味い店を知るならぽんぽこに聞け」なんて言われたこともあります。

そんな私も今は週一のお楽しみとなってしまい、お店も大体スタバくらいしか行かなくなってしまい、喫茶店探索の楽しみを忘れて久しくなってしまいました。きっとこれを読んでくださっている方も似たようなものだと思います。だってスタバってWi-Fi飛んでるし、大体どこ行ってもあるし、ショッピングセンターの中に入っている喫茶店でそういうチェーン店だから利用しやすいし、みたいな。それにローカルすぎる喫茶店ってちょっと入りづらいんですよね。常連客だらけで店主とお客がお友達みたいな。新参者お断りみたいな空気ありません?少なくとも私の周りの喫茶店ってそんなんばっかりです。

 

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スタバはそろそろ飽きたし、でもローカルすぎる喫茶店は嫌だ……とわがまま全開で本屋さんをふらふらしていると、ありました。理想の世界が載った本が!というわけでこちら、「純喫茶とあまいもの」です!

 

 

はい飯テロ!

 

写真だけでもう美味そう。そうかこういう喫茶店があるのか!オシャレさとレトロさが混在したコーヒーカップにふっくらしたホットケーキ(notパンケーキ)、そしてどっしり重たいフレンチトースト!

 

これが!私の求めていた喫茶店!ほどよくあか抜けてほどよく情緒的なこの空気感!

 

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ここで基礎知識なのですが、純喫茶とはなにかをおさらいしましょう。

それは昔昔のこと。かつて喫茶店とは、コーヒーもお酒も提供するものだった時代があったのです。いわゆる「カフェー」の時代ですね。今風に言うと「美味しいコーヒーの飲めるキャバクラ」みたいなお店だったそうです。

だけどそれは邪道だ!という派閥が生まれました。そこで登場したのが「コーヒーのみを提供する新しい形態のカフェー」だったのです。

だけど当時喫茶店といえばお酒も飲めるのが常識。こんな時代で「喫茶店」なんて看板をぶら下げたらいろいろ誤解されてめんどくさいことになる。なにより我々のプライドが許さない!

ということで、この派閥は「純喫茶」(純粋にコーヒーだけが飲める喫茶店)を名乗ることになったのでした。

 

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ところで、純喫茶といえばコーヒーだけでなくおやつも楽しめるのがいいところ。というわけで、この本は純喫茶の美味しいおやつをたくさん紹介しています。

定番なのはホットケーキ(notパンケーキ)。三センチ以上ある分厚いホットケーキの上には四角く切ったバター。メープルシロップをたっぷりかけて召し上がれ。実はこれがまた職人技で、熟練のマスターが手ずから焼いているのが定石です。

そして、忘れてはいけないのはプリンアラモード。透き通るような透明な器に固めのプリン、さらにあふれんばかりのフルーツを山盛りに。そしてアイスとホイップクリームを添えて、目にも楽しいプリンアラモードが完成。これも純喫茶の定番ですね。プリンは絶対固め。これは譲れません。なめらかプリンは今風のカフェに任せて、純喫茶では昔懐かしの固めプリンに限ります。

ほかにもドーナツやトースト、パフェ、ケーキ、甘い飲み物も登場します。どれも定番で外せないものばかり。

 

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だけど、純喫茶の魅力は甘味だけではありません。昭和のノスタルジック漂う昔懐かしの店内インテリアも忘れはならない重要なファクターです。内装なしに純喫茶は語れない!といっても過言ではないでしょう!

薄暗くて暖色系の明かり、茶けたレンガや木によって構成された壁面、マスターを目の前にしたカウンター席、くすんだステンドグラス、レースのテーブルクロス、アンティークめいた陶器のコーヒーカップ……どれも外せないものです。

 

ここで紹介されているのは「これぞ純喫茶!」と誰もが納得する店構えです。これには純喫茶ファンもにっこりでしょう。

なによりうれしいのはマッチの紹介もされているところ。純喫茶とマッチは切っても切れない関係ですから、マッチなしに純喫茶は語れないと断言できます。

だけれど、禁煙や分煙が進んだ現代、マッチを配る喫茶店というのは非常に少なくなってしまいました。純喫茶では喫煙可能、という時代は終わったのでしょう。禁煙自体は良いことなのですが(実際私も非喫煙者です)、レトロなマッチが姿を消すのは非常にさみしいものです。

ですが、店ごとに特色のあるマッチは非喫煙者でもついつい集めたくなるもの。もし近くに純喫茶が何軒かある土地に住んでいるのならば、はしごして集めるのも一興かもしれません。

 

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なによりこの本に紹介されているお店は、どこも純喫茶の名店ばかり。

純喫茶の名に恥じぬお店ばかりですので、近くに行った際にはぜひ行ってみてはどうでしょうか。

いいなあ私も行きたいなあ、と思いつつ、やはり近くに理想の純喫茶がないので、私はこの本を読んで純喫茶のおやつを妄想して我慢します……

 

それではこの辺で! お読みいただきありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

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以下リンクです。

Amazon - 純喫茶とあまいもの: 一度は訪れたい30の名店 | 里奈, 難波 |本 | 通販

 

 

内容

 

日本全国1700軒以上の純喫茶に通い詰めた著者の難波里奈さんが、都内近郊の純喫茶30店舗を訪問。
パフェ、プリン・ア・ラ・モード、ホットケーキ、フルーツサンド、ケーキ、クリームソーダなど、甘いメニューの歴史や秘密を掘り下げています。

手作り、創業当時と変わらない製法、厳選した食材といった味へこだわりのほか、食器、盛りつけ方、色合いなど見た目で楽しめるメニューばかり。
食材についてや作り方など、初めて公表した情報もあります。

さらに店内の貴重な美術品、職人技が光るテーブルや椅子、照明といった、お店の佇まいに関する秘話や、店主の経歴や純喫茶にかける思いも綴りました。
創業当時の建物やメニュー表といった、貴重な記録も特別公開。
甘いメニューとお店の歴史がつまった一冊となっています。

■目次
パフェ
プリン・ア・ラ・モード
ホットケーキ
フルーツサンド/トースト
ケーキ
飲みもの