頑張れない人向け
の本をこれまでもたくさんご紹介してきましたが、今回もまたその延長線上で。
というわけでごきげんよう。「頑張っていないように見える」とよく言われる私ですが(実際行動拠点はお布団の中ですし)、こんな私でも一応一生懸命に生きています。きっとほかの人はもっと大変なんだろうなあ、と思いつつも、今日も今日とて生命を維持し続ける私、頑張っていませんか?
つまるところ、人は生きているだけで一生懸命なんだと思うんですよね。生きていくためには稼がないといけないし、仕事にも締め切りというものがありますし(あ、お仕事見つかりました。やったね!)、このご時世だから感染予防やら物価高騰やらに適応していかないといけないし、私たちはいろいろしがらみをもって生きているわけですね。
じゃあどうすればより楽して生きられるのか、しかも頑張らずに、と本を探していて、これいい感じと思ったものを今回ご紹介しますね。
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それでは早速。南直哉さんで「「前向きに生きる」ことに疲れたら読む本」です。
これはまた心に刺さるタイトルですね。前向きに生きていくってやっぱり疲れるんだ、とここでまず気づかされました。
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さてこの本は、現役の住職が頑張り屋さんな現代人に一石を投じた本となっています。「もういやだ!」「疲れた!」というネガティブな気持ちをポジティブシンキングや根性論で抑え込むのではなく、仏教の教えをベースに「それ違うんじゃない?」と新たな視点をもらえます。
宗教がベースになっていると書くとスピリチュアル系がきたと構える人も多いかと思いますが、この本はうさんくさいものはありません。宗教色は「仏教的にはこうも考えられるよ」程度の主張です。
そもそも著者曰く、仏教はいわゆる「救い」のない宗教だそう。人生は「苦しく、つらく、悲しく、せつないもの」と考えられているあたりからも、そんな後ろ向きな感じが見えますね。
でも、安直な救いがないからこそ、仏教というのは今の今まで栄えてきたのかもしれません。
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じゃあどんなことが書かれているのか。
例えば、「置かれた場所で咲きなさい」っていう本があるじゃないですか。あちらも前向きになれる名著なのですが、著者はそれに真向から否定します。
曰く、
置かれた場所で咲かなくていい
今の状況なんて一時的なものでしかないし、そこに居場所がなくて当たり前。だから一か所に固執しなくてもいい、という考えです。無理して置かれた場所でふんばらなくていい。「誰か」の価値基準を無条件に受け入れて努力しろ、というのは仏教的に矛盾だらけだというのです。
置かれた場所で咲かなくても構わないけど、もしかしたら咲くこともあるよね。というのがこの本のスタンスです。
私はこっちの考えのほうが好きです。たまたま置かれた場所で咲かなきゃいけないって、ようするに逃げちゃダメってことじゃないですか。それってしんどくないですか。それは私が頑張らない側の人間だからこんなことを言うんだと思うんですけど、人生なんてそのくらいのスタンスでいいと思うんですよね。
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ほかにも、今まさに大仕事を抱えている人向けの言葉もあります。曰く、
生きるか死ぬか以外は大したことない
もっと言ってしまえば、死ぬこと以上の大仕事なんかないということ。ちょっと極端な考えですが、こう考えると、今抱える悩みや問題が一気に小さくなるような気がしませんか。成績が伸びなくて上司に怒られたり、周りからへっぽこ社員だと揶揄されても、そのせいで死ぬわけではないのですから、ちっちゃいことです。いや当人にとってはちっちゃくはないのですが、要するにそのくらいのスケールで考えたほうが楽だよ、ということですね。
第一、世の中の情報の99%は必要ないと著者は言い切ります。さすが仏教の世界に身を置く人間のいうことは違います。暗いニュースでおたおたする我々現代人にとって、この泰然自若さは見習いたいところです。
ちなみに私は前職でへっぽこ社員の烙印を押されて居心地の悪い思いもしてきましたが、こうして今でも元気にしています。つまるところ、現実というのはそういうものなのかもしれませんね。
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でも、私たちの周りには悲しいことがたくさんあります。大事な人を亡くすかもしれないですし、自分が命に係わる病気を患うかもしれない。そんな悲しみを一気に無にするなんて、ウン千年の歴史を持つ仏教でも無理難題です。
私も、数年前に亡くしたペットのロスを引きずっています。私の手の中で死んだんです。この子が最期に食べていたハーゲンダッツは今でも食べられません。思い出しちゃうから。
そんな、悲しみを引きずってしまう人にも、こんな言葉がありました。
悲しみが完全に消え去ることはないと思っておいたほうがいいでしょう。
でも、それでもいい。悲しみとともに生きる覚悟さえあれば、それでもいいのだそう。
泣きたいだけ泣けば、いつか笑える日がくる。
悲しいことなんて、無理に捨てることなんてないんですよね。
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それではまとめ。
・置かれた場所で咲かなくていい
・生きるか死ぬか以外大したことはない
・悲しみは消えない
もっとほかにも大切なことは書かれていましたが、私にぶっ刺さったのはこの3つです。
今いる場所が苦しければ逃げちゃえばいいし、そのせいで死ぬことなんてほとんどない。でもやっぱり死ぬことは大したことだから、大切な誰かを失ったりしたらしっかり悲しんでいい。
あと個人的に、ささいなこともしっかり悲しんでいいと思うのですが、どうでしょうか。恋人に振られたとか、パパからもらったクラリネットが壊れたとか、そういうことも悲しければ悲しんでいいと思うんですが、どうでしょうか。
なんて真面目なことを言って、今回はここまで。読んでくださりありがとうございます!
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以下リンクです。
「前向きに生きる」ことに疲れたら読む本 | 南 直哉 |本 | 通販 (amazon.co.jp)
内容
「前向きに生きる」ことに疲れたら、後ろを向いてもいい。
「生きがいや夢を見つけなければ」
「友達を増やして人脈を広げなければ」
「今の仕事で結果を出さなければ」
といった、「○○しなければいけない」「○○すべきだ」という
思い込みや価値観に縛られていませんか。
そんな考えに違和感を覚えたり、心が疲れてしまうのなら、
別の生き方があります。
「生きる意味なんて見つけなくていい」
「人脈も友だちも要らない」
「置かれた場所で咲けなくていい」
本書には、いわゆる自己啓発書に載っているような、
前向きでポジティブな言葉や理想論は一切ありません。
長年にわたり、人の悩みやつらさと向き合ってきた禅僧である著者が、
うまくいかない現実・自分を受け入れ、どう生きていくかという、
まったく別の視点からのリアルなメッセージを伝えてくれます。
人生、人間関係、恋愛、仕事…どうしようもないモヤモヤした感情を
抱えているのなら、そっとページを開いてみてください。
きれいごとのない率直な38の言葉は、あなたの不安や迷いを断ち切る
きっかけになるはずです。