酒を飲ませろ

と言いつつ私は下戸なのでお酒は飲めないんですけどね。

というわけでごきげんよう。昨日に引き続きお腹の減ってくるシリーズです。

今回のテーマはズバリ「居酒屋」。みなさん居酒屋って好きですか?

とは言っても、昨今このご時世ですから、居酒屋に通いづらくなってきているかとは思います。飲みに誘われないということで私としては嬉しい面もありますが(お酒が飲めないので……)、美味しいお酒をみんなで飲みたいという方々は非常にフラストレーション溜まりまくりでしょう。現在営業制限の緩和が検討されているそうなので、早いところの居酒屋復活が望まれるところです。


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さてはて、今回は居酒屋小説の金字塔、「居酒屋ぼったくり」をご紹介します。



イラストレーターのしわすださんの温かなイラストが素敵ですね。店内の笑い声まで聞こえてきそうです。


さてこの作品ですが、全11巻プラス外伝2巻の、かなり大物な作品となっています。それだけみなさまに愛されているシリーズということで、実際非常に面白い作品なので、今回取り上げさせていただきました。


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まず、「居酒屋ぼったくり」とはなんぞ、というところで。

「ぼったくり」と銘打ってはいますが、実際に違法な値段で料理を提供するわけではなく、むしろびっくりするほど安価に美味しいものが食べられる良心的なお店です。

由来としては「誰でも買えるような酒や、どの家庭でも出てくるような料理で金を取るうちの店は、それだけでぼったくりだ」という先代の店主の口癖がきっかけ。その前は普通の屋号だったらしいのですが、実際どんな名前だったのかはわかりません。

その先代、主人公の美音とその妹である馨の両親が鬼籍に入ったことで、美音が継いで今に至ります。

この作品は、そんな美音が経営する優しい居酒屋の、優しいお話が詰まった本なのです。


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ストーリーももちろん温かくていいのですが、今回取り上げたいのは挿入されているコラムの方です。

このシリーズには毎回エピソードが終わるたびに、登場するお酒の紹介や豆知識が書かれてるのですが、その紹介文がまた秀逸なのです!

例えば美味しいお酒の飲み方として、お酒の温度についての説明があります。熱燗やぬる燗、冷やなんかと呼ばれるアレですね。常識としてはラベルの後ろに書かれている通りに飲むことを奨励されていますが、作者は「それはあくまで一般的な目安に過ぎない」と一言、自分好みの味になるよう色々調整することを奨励しています。もしかして著者は居酒屋の店主だったのでは、と邪推してしまうほど、その説得力は大きいです。

また、それに併せて作中のお酒に関する情報もイラスト付きで載っていますので、それを買い求めて味わってみるのも良いですね。味覚でも小説を味わえるなんて贅沢ではないですか。イラストだけでなく酒造先の電話番号、住所、ホームページのアドレスも載っているので、すぐに注文することもできます。試してみたい方はぜひ!


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いつもの余談ですが、こちらの作品も2018年にドラマになっています。キービジュアルはこちら!



全てにおいて解釈一致!

美音も馨も、原作のイメージを崩さない雰囲気がいいですね。お店の温かみもまさに「居酒屋ぼったくり」。お客さんの笑顔もまぶしくて、いかにこの居酒屋が素敵なお店なのかが伝わってきますよね。

主演は片山萌美さん。「いなくなれ、群青」に出演していたこともある女優さんです。この原作についてもいつかご紹介できたらと思います。非常に素敵な作品なのでぜひ!


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こんな素敵なお店を見ていると、昨今のコロナ情勢でこのような小さな居酒屋が消えていくのが見ていて非常に胸が痛みます。きっとどの町にも、ぼったくりのような素敵なお店があることでしょう。

規制が緩和されたらぜひ遊びに行ってください。私も下戸ながら行ってみたいなと思っています。

だけどお酒飲まない一人客って歓迎されるのかな……と若干不安になりつつ今回はこの辺で。読んでくださりありがとうございます!





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以下リンクです。


原作


ドラマ




あらすじ

東京下町にひっそりとある、居酒屋「ぼったくり」。名に似合わずお得なその店には、旨い酒と美味しい料理、そして今時珍しい義理人情がある―全国の銘酒情報、簡単なつまみの作り方も満載。旨いものと人々のふれあいを描いた短編連作小説、待望の文庫化!