※この記事には盛大なネタバレが書かれてます

























     






愛こそすべて


GuiltyKISS…


というわけでお久しぶりですね。この本を読んでたら遅くなってしまいました。

ちなみに上記の元ネタお分かりの方いらっしゃいます?GuiltyKISSといえばラブライブですね。愛こそすべて、だけならビートルズですけどね。今回はギルティなキスも大切なのでこちらを採用してみました。





というわけで私が読んできた本はこちら、ドストエフスキーの「罪と罰」です。



やっぱりこの表紙ドギツイよなぁ。

ドストエフスキーはご存知ですか?ロシアを代表する作家ですね。ロシアといえばトルストイかドストエフスキー。私はトルストイは未読なので詳しくは語れませんが…。



さっくりあらすじだけ。

主人公はラスコーリニコフ。「天才は殺人しても許される」「だって天才にとっては些事だから」みたいなとんでもない危険思想のうら若き青年です。本編では他にロージャとかロジオンとかロージカとか呼ばれていますがぜんぶ彼のこと。

さてそんなラスコーリニコフ、学費が払えなくて大学を追い出されるほどの文無し。くさくさした毎日を送る中、彼には目の上のたんこぶみたいな人間がいました。それが問題の高利貸しババア、アリョーナ・イワーノヴナ。
そんなとき、ラスコーリニコフはこう思います。

あのくそババアの金を社会のために使ったろ!

分かりやすく言うとそんな感じ。
さっそくアリョーナから金を借りて他人に無利子無担保で譲ったラスコーリニコフは、さっさとアリョーナを斧でカチ割りました。ええカチ割った
のです。
ついでとばかりに、様子を見に来たアリョーナの妹までカチ割ったラスコーリニコフ。だがここからが地獄の始まりだった…


罪の意識と良心の呵責でだんだんとおかしくなるラスコーリニコフ。いやもともと思想はおかしいみたいなモンなんですが。
ともかく親友のラズミーヒンが心配するほどの衰弱っぷり。

そんな折に、お金を譲った相手が死に、妻と娘が残されました。その娘こそ、ソーニャと呼ばれる女性。正統派ヒロインの楚々とした女の子です。

ほとんど同時並行でラスコーリニコフの妹ドゥーニャの婚約者との揉め事もありました。ドゥーニャの婚約者の名前はルージン。絵に書いたような当て馬ですね。

さらに(なんだかんだ言って出頭はしない)ラスコーリニコフを疑う人間も現れました。それがポルフィーリという判事です。とくに物的証拠もないのに「あいつ臭いぞ」と決めつけてくるので、現代社会だったらきっとTwitterが炎上してますねこの人





ここからネタバレですぞ!


そして罪の意識に耐えられなくなったラスコーリニコフ。とうとうソーニャに殺人を告白しました。
そのときのソーニャの一言はあまりにも有名ですので引用しますね。

「今すぐ外に行って、十字路にひざまずいて、四方に向かっておじぎをして、あなたがけがした大地に接吻なさい」
「世界中の人々に対して、四方に向かっておじぎをして、大声で〈わたしがやりました!〉というのです」

ちなみにのちにラスコーリニコフは本当にやりました。だけど「わたしがやりました」とまで言えるほど自棄になってないのが彼らしいですね。

そのあとにラスコーリニコフが自首する場面もあまりに有名。


なのですが!

それ以降のエピソードがあることは、あまり知られていません。

私はなによりエピローグが好きなので、少し語らせてくださいね。





シベリア送りとなったラスコーリニコフ、そしてソーニャまで近くの町にまで引っ越します。収容所でも浮きまくるラスコーリニコフと、頻繁に顔を出すがために収容所のアイドルみたいになったソーニャ。
だがラスコーリニコフは重篤な病気にかかり、何日も寝込むことになります。そのとき、彼にいろいろ思うことがあったのです。

なぜ自分は自殺せずに自首を選んだのか?
結局、悪事とはなんだったのか?

末に、ラスコーリニコフはようやく、自分がソーニャを愛していることに気づくわけです。
そしてソーニャも気づきました。彼がソーニャを愛していることに。
地の文ではこんなふうに書かれています。

愛が二人をよみがえらせた。


その後、ラスコーリニコフの枕頭には福音書がおかれるようになりました。それはソーニャがくれたもので、その昔、ソーニャがラスコーリニコフにラザロの復活を読み聞かせてやったものだったのです。


つまり、愛こそすべてだったのです。


GuiltyKISS…



余談ですが、ドストエフスキーの作品はとにかくセリフが長いのが特徴です。2ページ近く延々と喋るキャラも珍しくありません。
その饒舌さも彼の作品の醍醐味ですね。

あとは表紙がもっと穏やかだったらなあ…新潮文庫さんどうにかしないっすかぁ…?と思いつつ、今回はこのへんで!









以下リンクです。




内容
一つの死と百の生命(いのち)の交代――

独自の犯罪哲学によって、高利貸の老婆を殺し財産を奪った貧しい学生ラスコーリニコフ。良心の呵責に苦しむ彼の魂の遍歴を辿る歴史的傑作。

鋭敏な頭脳をもつ貧しい大学生ラスコーリニコフは、一つの微細な罪悪は百の善行に償われるという理論のもとに、強欲非道な高利貸の老婆を殺害し、その財産を有効に転用しようと企てるが、偶然その場に来合せたその妹まで殺してしまう。この予期しなかった第二の殺人が、ラスコーリニコフの心に重くのしかかり、彼は罪の意識におびえるみじめな自分を発見しなければならなかった。