ありったけの夢をかき集め


探し物を探しに行くのさ


…とまあ茶番はこの辺にして。

みなさん、冒険するのは好きですか?

ここで自信を持って「YES!」と答えた方、その心をどうか大切に持ち続けてください。人生は冒険です。未知なる道を行くのです。ミチだけに。

そして即答できなかった方。社会の荒波に揉まれすぎです。少年心を取り戻す冒険に出ましょう。私は出ませんが。




さて、今回ご紹介する本はこちら、小栗虫太郎さんの「人外魔境」です。


この他たくさんのタイプの表紙が出版されていますので、お近くの古書店を覗いてみてくださいね。
ちなみにプレミアついた人外魔境は3000円以上するみたいですね。高嶺ですねぇ。
ちなみに私は1冊30円のカバーなし古本で読みました。



ざっくり内容を。
こちら、全13話もの冒険譚が入っています。どれもが「秘境」の名に相応しい前人未到ぶり。時に人を殺し、時に苦しめ、そして人間同士の騙し合いや国同士の奸計が絡み、そこはかとないロマンスが生まれることもあるーーざっくり、ほんとにざっくり言うとそんな本です。
要するに地球版ト〇ネコ物語みたいな感じですかね。
13話中11話は同じ冒険者が主人公ですので、そちらをメインに進めていきましょう。



さてはて、この物語でメインに語られる偉大なる冒険者の名前は折竹孫七。鳥獣採集人のフリーランサー。そして、あまり表立ったお仕事ではありませんが、世界規模の地図を修正するお仕事も請け負っています。他にもスパイまがいのこともしてますので、結構ウラのある冒険者なのかもしれませんね。
この折竹という人間は「利得には動かない」「信念は枉げぬ」人間だそうで、一本芯の通った男のようです。

ちなみに補足ですが、折竹が冒険していた当時の世界地図はとても正確なものとは言えず、なんと空白になっていたところもあるそうです。その空白がここでいう「秘境」ですね。
そして折竹はその地図をできるだけ実際に近づけようとしているのです。そんなお仕事があったのも、昭和始めならではといったところですね。当時はGPSなどなかったのです。



そんな折竹が挑む秘境とはどんなところか。こちらもさっくりご紹介しますね。

・チベットのユートピア「天母生上の雲湖」 
ここは空からの攻略もできず、地上には厳しい氷河や風が大暴れする殺人地帯。作中いわくジンギスカンの墓があるそうです。

・パチニョの荒湿地「蕨の切り株」
川も湿地も区別のつかないドロドロ地帯。折竹がブラジルで出会った男カムポスが手にしていたのはダイヤの原石。それはここ、「蕨の切り株」で入手したそう。なぜかは、読んでからのお楽しみ。

地竜の住む島「火礁海」
ようするにコモドドラゴンなんですけどね…
ここには「人類ならぬ人間(コチョ・ポチョ)」がいるのだそう。そのコチョ・ポチョとは猿人の一種だそう。

などなど、他にもたくさんの秘境が出てきますが、それは読んでからのお楽しみ。



折竹はさまざまな国の人間とともに冒険に出かけ、ときに友情を、ときにロマンスを育みながら、別れたり出会ったりしていきます。

そこで、念頭に置いていただきたいことが。
この作品が第二次世界大戦真っ只中に発表されたという事実です。

こちらは1939年〜1941年にかけて「新青年」という雑誌に掲載されました。戦争は1939年〜1945年。となると、当時他の国々の人と冒険に出るということは、現代とちょっと違う意味合いになりますね。

なんて時代を考えながら読むのも小説の醍醐味。というわけで今回は〆ますね。クーラーの効いた部屋でする冒険最高!





以下リンクです。

まずはアマゾン。

買うのめんどくさいんじゃ!という方へ、青空文庫も載せておきますね。
 




内容
世界のテラ・インコグニタ(未踏地帯)―南米アマゾン河奥地、グリーンランド中央部氷河地帯の冥路の国、青海省ヒマラヤ巴顔喀喇山脈中の理想郷、そしてコンゴ北東部の秘境中の秘境“悪魔の尿溜”―。国際諜報家・折竹孫七らが戦時下を舞台に活躍する、探検・SF・スパイ・魔境小説。『新青年』に書き継がれたオグリランドの極北!