ヤバい

みなさんにお聞きします。好き嫌いはありますか?

私はあります。例えばトマト。あの青臭さとグズグズと種のプチプチと独特の味がダメです。あとアサリ。キモの磯臭さとたまに混ざる砂のざりっという食感がいけません。




なんて好き嫌いの話をしましたが、今回はそんな次元をぴょんと超えた本をご紹介します。

それがこちら、高野秀行さんの「辺境メシ」です。

書影ヤッッバ

普通の生肉……なんですよ、ね?なんの肉なんです、それ?
と表紙でおののくのはまだ早い。ひとたびページを開いてください。そしてカラー写真をご覧下さい。

ひえっ……

ってなりますから。
え、初っ端から虫さんサンドイッチ……とか、なんかの生肉食べてるぅ……とか、もう地獄絵図です。我々って食に保守的だったんだな……と、この時点で思い知らされます。私たちの世界は狭いのです。



ここまでウォーミングアップですから。問題は本編ですから。

以下一例です。マイルドなものを厳選しました。

・冒頭でいきなり登場するゴリラのご遺体。それを食らう著者。
・食虫文化パラダイスのタイ。
(余談ですが私もタイ料理の虫を食べました。結構美味しいんですあれ……)
・鶏がポコポコ卵を産むことを知らない民族の食べている不思議な雑炊。
・トルコの耳かきサイズの餃子。恐らく世界最小にして一番手のかかる餃子。
・みんな大好きちゅ〜るのヒミツ



さてここまでざっくり世界の食を堪能していただいたところで。
この本のコンセプトは「食の可動域」を広げることって大切なんだよ、ということ。
食の可動域が広がれば、それだけでサバイバル能力がアップします。サバイバルなんてしねえよ!という方も、異文化理解を深めるきっかけにもなることでしょう。
事実、この本を読み終えたころにはゴリラくらいでは驚かなくなっています。モルモット?美味しそうだね。ヘビなんて絶品らしいじゃないか!と食べてみたい気持ちにすらなります。このげっ歯類至上主義の私でさえ。
世界は広くて深い。その片鱗の味わえる一冊なのです。メシなだけに。





以下リンクです。
 



内容

ヒキガエルジュース、ラクダ丼、水牛の脊髄炒め、サルの燻製脳味噌、元首狩り族の超熟納豆、古代粘土板せんべい、生羊肉ハンバーグ、胎盤餃子……
辺境探検家がありとあらゆる奇食珍食に挑んだ、驚嘆のノンフィクション・エッセイ。

・ジャングルのゴリラ肉ってどんな味?
・恐怖のスパーリング・エイ料理ホンオ
・「世界最高のビールのつまみ」の意外すぎる正体
・“女性用絶倫食材”カエルの子宮の効果とは?
・トン族は「ヤギの糞のスープ」を食べる!?

人類最後の秘境は食卓だった! 抱腹絶倒の〈食の冒険〉ノンフィクション決定版。

目次
I アフリカ ゴリラを食った男の食浪漫
II 南アジア 怪魚、水牛、密造酒……爆発だ!
III 東南アジア 思わずトリップするワンダーフード
IV 日本 猛毒フグの卵巣から古来のワニ料理まで
V 東アジア 絶倫食材に悶絶した日々
VI 中東・ヨーロッパ 臭すぎてごめんなさい
VII 南米 魔境へようこそ――