ヨットレースは沖合で行われる。ヨットはゴールラインにフィニッシュすると、次々にヨットハーバーを目指す。多くのヨットが一斉に岸を目指して帆走して来るのを見て、初めて岸では470級のヨットレースが終わったことを知る。

 次の見ものは接岸方法だ。海陽ヨットハーバーでは、スロープに着けなければならない。風の強さと方向、波打ち際までの距離と水深を考慮して、タイミングよく艇を止めなければならない。艇の下には舵やセンターボードが出ているので、これらにも気をつけなければならない。しかし、インカレに出場する選手だけにへまをするような艇はない。艇を止めたら、すぐに台車を運んで来ないと、艇を岸に上げられない。オカキンがいれば、事前に台車を用意して待っているのだが、いなければ乗員が台車を取りに行かなければならない。応援艇にはあいにくオカキンがいなかったため、乗員の一人が台車を取りに行く。海上で艇を台車に載せて、スロープを上るときに、私も後ろから押して平らなところまで運ぶ。(私の学生時代は、人海戦術で8人くらいで、手で持つか、肩にかついで運んでいた)

 この470級のヨットは、私が大学を卒業して何年か経ってから、A級ディンギーに代わってインカレに導入された種目だ。A級は1枚帆だが、470級はスナイプと同じ2枚の帆がついている。

 私は時間が早いので、あと1レースあるのかと思っていたら、もう終りだという。そこで、解装が始まった。艇には細いロープがあちらこちらに付けられている。備品も精巧に作られている。それが値段にも反映されているのだろう。これほどまでにする必要があるのかと思うほどだ。私が学生時代に乗っていたA級の構造は、極めてシンプルで艤装も簡単だったが、470級は非常に手が込んでいる。一度教えられたくらいでは覚えられそうもない。当時のスナイプと比べても複雑な構造になっている。