逝ってきます。
女の子はメールでよくその漢字を使った。
初めてのデエトのスノーボードの時もかえってきたメールは
逝く。
だった。
だからそんなに気にしなかった。
ただちょっと気になったので留学の事務的の要件でメールした。
かえってこなかった。
心配になり電話した。
出なかった。
出発の当日も電話した。
出なかった。
フライトまで時間はまだまだあったが電話には出なかった。
電話を持っていないはずがない。
おかしいと思った。
心配になり何度も何度も電話した。
出なかった。
ふと気がつくと飛行機はもう飛んでいる時間だった。
電話の呼び出し音はまだなっていた。
おかしい。
出発予定日の次の日。
まだ電話の呼び出し音はなっていた。
次の日も。
次の日も。
3日目。
やっとつながった。
聞いたことのない中年の女性の声だった。
お母さんだと思った。
言葉に詰まった。
女の子の名前を知らない。
言葉に詰まっていると中年の女性はポツンと一言だけ話した。
○○は死にました。
心臓が止まりそうだった。
何も言えずに電話を切ってしまった。
しばらく茫然として我にかえった。
自殺だと思った。
女の子が死んだことは信じられない。
ただ本当に死んだのなら自殺だと直感的に思った。
どう気持ちを整理していいのか分からなかった。
女の子のことは何も知らない。
メールと電話そして時々のデエトだけが二人の接点だった。
女の子は傷つき悩んでそのことを誰にも相談できずに死んでしまった。
唯一そのことを知っていた僕も女の子を助けてあげられなかった。
信じられないが女の子はもういない。
スノーボードの時の笑った顔が忘れられない。
女の子が死んでもう1ヶ月が経とうとしている。
まだ信じられない。
でも女の子と連絡をとることはもうできない。
仕事で悩んだり失敗した時女の子は癒やしてくれた。
今は女の子が死んだことを忙しい仕事が紛らしてくれている。
心の中にポカンと開いた穴は当分ふさがらないだろう。
構わない。
女の子とは短い時間だったがつながっていた。
女の子のことを忘れないためにもポカンと開いた穴はふさがらないでいいと思った。
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