さて、アクセス数が多いうちに、これもぜひ知っておいてほしいと思う。

もしがんと診断されてしまったら・・・

 

まず治療費の話。

治療全般にお金と時間がかかるのは、なんとなく想像できると思うのですが、問題は保険適用外の出費が乳がんには多いことです。

 

例えばウィッグ。

これは抗がん剤治療をした人はほとんどの方がお世話になるのではないだろうか。医療用ウィッグが必要になるのだが、これがまともなものを買おうとすると、軽く15〜20万以上はかかってしまう。

 

私は再建は諦めたのだが、乳房を切除後、若い女性であればやはり乳房再建も諦めたくないかもしれない。ただこれも相当なお金が飛んでいきます。

 

さらに、遺伝子診断。癌家系で、かつ子供がいる人は当然、子供の遺伝子診断によりリスクを確認しておきたいと思う人も多いだろうが、これまた保険適用外。

 

そして、落ち着いて判断してほしい、民間療法。

数百万円~数千万??にも及ぶ支払って治療を受ける人もいるという。がんについては、最も多いのが免疫療法。中には効果が認められ、保険適用の候補に挙がるものもあるし、誠実な医師のもとで、納得して治療を受け、効果を実感する人がいるのも事実だし、一方的に否定も肯定もできないのだが、私自身がどう考えたかというと…

 

そんなの検討してる暇があったら、一日も早く治療始めたい…

 

民間療法は調べれば調べるほど、たくさんの情報に翻弄され、しかもその治療数は少ない。なかでも、標準治療、とりわけ抗がん剤を真っ向から否定する医師は要注意だと思っている。抗がん剤は確かに毒薬だろう。標準治療を安易に信じていいものか?と疑問を感じる時もある。

ただ、数学の確率統計を習う時、最初、サイコロを転がして、たくさん投げるほど、それぞれの目の数が出る確率は6分の1に近づく、という簡単な実験をしたことが記憶に残っていませんか?治療というのは、個体差が大きく、「この物質を投与したら、こう反応する」というように理論通りに動かない。純粋なサイエンスではない。医療は確率論なのだと思うのである。つまり

 

母体数が多くないと、効果に関しても信頼性が少ない。

 

なので、100%の信頼をおけなくても、より多くの人に治療実績があり、より多くの人で効果が認められている標準治療を選んだ。尤も私の場合は腫瘍が大きかったので一刻を争い、選んでる暇がなかったため、というのも大きな理由である。

 

いずれにしても、どんな治療に、どれだけお金を払うにしても、この治療と決めたら、絶対治る、と信じることが大切だろう。

 

主治医の言葉を今もたまに思い出す。

『いったんやると決めたら、信じてください。これで治るんだろうか?と不安になったら効果は半減しますよ』

 

治療の本質は、癌をやっつけて死滅させることではなく、本来自分の細胞だった、仲間だったはずの癌細胞に思いを巡らし、もう、これ以上、私の細胞を癌化させない!と、自分の命と残った自分の細胞を守りぬく覚悟をもつことである。いわゆる、がんサバイバーと呼ばれる人は、多かれ少なかれ、その感覚を持っているように感じる。

 

もちろん、体質が合わない、など、治療の見直しを余儀なくされる場合もあるが、主治医を信じ、治療法を信じ…そして

自分の生命力を信じること!

 

抗がん剤中は、毒々しい赤い点滴剤に向かって

『ありがとう、私を治してくれて』

放射線治療中は、目に見えぬ放射線に向かって

『毎日ありがとう、私を助けてね』

と声をかけ続けた。

 

私がここまで生きてこられたのは、医療従事者や家族、友人の支えはもちろんのことだが、その大前提として、一旦覚悟を決めたら、ぶれずに、くじけずに、治療に集中したためだろうと思うのである。

 

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