痛風・高尿酸血症とは

 
痛風は「風が吹いても痛い」というほどの激烈な関節の痛み(時には関節外にも)を起こします。最も多いのが足の親指の付け根(MP関節)です。


痛風の関節炎発作は血液中の尿酸の結晶が関節などにたまることにより、高尿酸血症(血液中に尿酸が多い体質)の人に起こります。尿酸値は血液検査で簡単に測れます。


はじめに書いたように、痛風発作の痛みは非常に強く辛いようですが、高尿酸結晶の本当に怖いところはこの痛みではありません。尿酸が関節ではなく、心臓や脳の血管・腎臓などにたまることにより、脳梗塞や心筋梗塞・狭心症や腎不全などの重篤な疾患を引き起こします。


痛風の治療


ですから、高尿酸結晶を持った方は発作時の治療だけでなく、常に血液中の尿酸値をコントロールしておくことが大事です。血液中の尿酸値を下げる薬には、体の中で尿酸を作りにくくする尿酸生成阻害薬と、尿酸を体内からたくさん出すように働く尿酸排泄促進薬とがあり、その人にあった薬を使います。


痛風発作に対しての治療は高尿酸血症の治療とは異なり、痛み止めの飲み薬・湿布と場合により注射を使って抑えます。以前痛風発作の特効薬と言われていたコルヒチンは、発作が起こってしまってからでは効きにくく、発作予感時に使うといい薬です。また、痛風発作時に尿酸を下げる薬を開始すると症状を増強させる場合があるので、高尿酸血症の治療は発作がおさまってから開始します。


高尿酸血症で注意すべき点は、痛風発作(関節の腫れ・痛み)が起こっている時に血液検査をしても、通常よりも尿酸値が低く出てしまうことが多いので、痛風発作が起こっていないときに血液検査をするべきだということ。

もうひとつは、高尿酸血症の治療を開始してから血液中の尿酸値が安定するまで(だいたい3ヶ月から半年間と言われています)は、痛風発作を起こしやすいということ。痛風の薬を飲んでいるのに痛風発作が起こったからといって内服をやめてしまわず、血液検査をこまめにしながら尿酸値を安定させれば、痛風発作も起きなくなります。

また、内服をやめてしまうと尿酸値は必ず上がってきますから、勝手に内服をやめず一生治療を続ける覚悟をするべきです。


日常生活上の注意


尿酸値を上げてしまう食品・飲み物は、プリン体を多く含むものです。動物性蛋白、特にレバー)はとり過ぎないように。反対にとるといいものはアルカリ性食品で、野菜海藻牛乳などです。またしっかりと水分を摂取することも大切です。


アルコールの飲みすぎはもちろん良くないのですが、例えば晩酌にビール1本飲む程度で、食事のバランスをちゃんと考えているのならば問題ないでしょう。アルコールを飲む場合にもっと注意すべき点は、しっかり水分をとること。アルコールには利尿作用(おしっこを沢山出す働き)があるので、水分をとったことにならず、かえって脱水の原因になります。水やお茶(濃いお茶やコーヒー、紅茶も利尿作用あり注意)もしっかり飲んでください。


その他に痛風に悪影響を及ぼすものは、肥満運動不足ストレスです。日頃から適度の運動を心がけましょう。