天国の門 | T-MOTOの日曜映画

T-MOTOの日曜映画

日曜日のショートムービー製作

NHKBSプレミアム 2014年10月14日(火)  13時00分~16時40分
監督・脚本 マイケル・チミノ
出演 クリス・クリストファーソン,クリストファー・ウォーケン,ジョン・ハート,イザベル・ユペール,ジェフ・ブリッジス

予算の大幅オーバーと興行失敗で映画会社を倒産させてしまった作品です。
公開当時、劇場で観て、
陰々滅々な気分になりました。
映像美には感銘を受けたのですが。

当時はボロボロに批判されていた作品なのですが、最近では評価されていて、ネットのレビューでもおおむね好評です。この変化は、皆が格差社会を感じるようになったからでしょうか?

アメリカの歴史上の最悪の汚点のひとつ、ジョンソン郡戦争を描いています。

実は、「シェーン」もジョンソン郡戦争の話なんですが、同じ事件でも西部劇調にするとまるっきり違ってきますね。本物のベトナム戦争とジョン・ウェインの「グリーン・ベレー」の違いと同じくらい、違います。

シェーンに相当するのは、最初は大牧場主連合に雇われて後に農民側についたネイト・チャンピオンということになるのでしょうが、現実には、大牧場主連合が雇ったガンマンと50対1の銃撃戦をやって無数の銃弾を浴びて殺されています。この差では当たり前ですが。

ジョンソン郡戦争について調べていたら、ネイト・チャンピオンは、ブッチ・キャシディと知り合いだったことを知ってちょっと驚きました。ブッチ・キャシディというのは「明日に向かって撃て」のポール・ニューマンの役です。
ネイトの死を知って感情を爆発させたプッチの言葉が記録に残っています。

プッチ「オールド・ウエストの時代は終わった。だがこれから、俺たちが自分流で守ろうとしていたオールド・ウエストの伝統を見せてやろうではないか。優れた馬、馬具、武器、我々の優れた能力で牧畜王族どもの鼻先から、大量の牛を盗んでやろうではないか。一人の自作農を殺したことくらいで、済まないことを教えてやろうではないか。奴らが何をおっぱじめたのか教訓を与えてやろうではないか」

ジョンソン郡戦争、ネイト・チャンピオン、ブッチ・キャシディについては、こちらのHPに詳しく載っています。
フロンティア時代のアンチヒーローたち ~西部アウトロー列伝


今観てみると、私も良い映画だとは思うのですが、エラとの三角関係の設定とか、ラストの派手な戦闘はいらないんじゃないかと思います。中途半端なエンターテイメント映画にしてしまうより、「シンドラーのリスト」のように撮った方が良かったのではないかという気がします。