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日曜日のショートムービー製作


なんか、読んでていろいろ突っ込みたくなりました。

中野剛志氏が指摘「世界は今、第2次世界大戦直前に匹敵する危機的状況」
緊張が続くウクライナ情勢、中東では「イスラム国」が急激にその勢力を伸ばし、シリアとイラクの広大な地域..........≪続きを読む≫

さらに確信を強めたのは、2003年にイラク戦争をアメリカが始めたときです。「これは間違いなく致命的なミスになる。アメリカの覇権の寿命を縮めることになる」と思いましてね。 

中国などの新興国の台頭によってアメリカの影響力が相対的に弱まるというのは、イラク戦争とは関係はありません。アメリカが国際協調主義的な方向に転じたことについても、戦う相手がもっぱら国家に属さない武装勢力になったことによるものです。

経済でいえば、間違いなく、2008年のリーマン・ショックでアメリカは衰退のスピードを加速させましたよね。

生産水準も株価もリーマンショック前の景気の山時点に回復しているのに、何が「間違いなく」「衰退のスピードが加速」しているのか不明です。アメリカの強いというイメージが衰退したという個人的なフィーリングの話なんでしょうか?

リーマン・ショックが起きた瞬間に僕はこう予想しました。沈みゆくアメリカは利己主義的に振る舞い、よその国の市場や雇用を奪おうとしてくるだろう、と。

アメリカの自由貿易の主張は今に始まったことではなく、戦前のハル国務長官の時代からずっと言ってますから。利己的な側面も昔から。貿易で有利なときは自由貿易を主張し、不利なときは保護貿易を主張しています。(アメリカは歴史的には自由貿易だった年数の合計よりも保護貿易だった年数の合計の方が長い)

それに加えて、経済のグローバル化がいきすぎると、景気が後退局面に入った途端に国家間の対立と緊張が高まることがまったくといっていいほど理解されてない点にも問題があると感じています。 

昨年からずっとアメリカの好景気が報道されているのに、「景気後退」とは何のことでしょうか?
「沈みゆくアメリカ」とかこの評論家は思い込みが激しすぎです。

へたをすれば、戦争になるんですよ。歴史を見ても、グローバル経済が失速し、世界大恐慌が起こって、第2次世界大戦につながりましたからね。 

大不況でアメリカがドイツから資本を引き揚げてナチスを伸長させたのもグローバル経済なら、それ以前にアメリカの資本投入でドイツが平和的に復興しようとしていたのもグローバル経済なんですけどね。グローバル経済が行き過ぎたのではなく、グローバル経済が正常に機能するためのシステムが未熟だったという話。

わかりやすく言うと「理想主義」というのは、「自由と民主主義という理想を掲げ、国際協調を行ない、経済的には自由貿易を進めると国家は戦争をしなくなる」という見方です。グローバル化が平和につながるという考え方ですね。一方の「現実主義」の論者たちは、「国家というのは自国の利益と安全保障を中心に考えるものである」とみる。 

どうして、「理想主義」と「国益と安全保障」が対立概念になるのか意味不明です。
世界的な安全保障システムが壊れたら、自国の安全も脅かされるのですから、長期的、世界的視野で国益を考えるか、短期的周辺地域的に国益を考えるか、の違いにすぎません。

理想主義のほうが日本では人気なんですよ。理想主義の経済的な側面であるグローバリズムもカッコいいと思っている人が多いでしょう。

一般ピープルを上から目線で見ているタイプの評論家ということがよくわかりました。

けれども、実際はそうじゃない。イラク戦争がいい例です。アメリカ式の「民主化」をするために、戦争まで起こしてしまうのが理想主義なのです。

イラク戦争というのは、9.11同時多発テロ直後に、アルカイダとフセインがつながっているという情報から、大量破壊兵器がアルカイダに渡るのを恐れて切羽詰まってやった自国防衛のための戦争ですから。(アメリカの国連での国際法的な理由づけは「イラクの国連査察拒否及び査察妨害という湾岸戦争休戦協定違反に対する国連決議にもとづく武力行使」)

アメリカはどこまでも自分たちの価値観に基づき、自分たちの定義する自由や民主主義を強大な「力」を背景に世界に押しつけてきた。 

「自分たちの定義する自由や民主主義」って何なんですかね?
アメリカが定義している自由と民主主義について、この評論家にじっくりと説明していただきたいものです。

イラク戦争の後に、中東がむしろ不穏になったのは、そうした理想主義の失敗のせいです。

イラクに奇襲攻撃をしてイランイラク戦争、クルド人を化学兵器で大量虐殺、クウェートを侵略、のフセイン政権の時代よりも不穏になってますかね?
湾岸戦争の時点では、フセインのイラクは、化学兵器を所有、炭そ菌の生物兵器、核兵器、長距離ミサイルを開発中だったわけですが。

ウクライナの危機も同じ構図です。アメリカが理想主義に走り、ロシアの隣のウクライナにまでアメリカ的な価値観を広め、勢力下に置こうとしたことがロシアの反発を招き、紛争になったのです。

価値観を広めって、ウクライナの人の判断でしょうに。
インターネットの時代に何を言っているのでしようか、この人は。
旧ソ連の元共和国、元衛星国は外部からの情報をシャットアウトして鎖国をすべきと言っているんでしょうかね、

世界各地で秩序が維持できなくなり、あまりの負担の大きさに、アメリカは「世界の警察官」から降りようとしています。

アメリカは世界中に利権がありますので、国益のためには、世界の警察官から降りることはできません。現在も世界中のどこでも一時間以内に攻撃できる極超音速機など世界展開を念頭に置いた兵器をDARPA で開発中でアメリカはヤル気満々です。伝統的な二正面作戦を改めたというのも、二正面作戦が出来なくなったというのではなく、武装勢力がもっぱらの相手になったので従来の戦争の概念、戦略を変えたということです。

つまり、アメリカの国益のために世界から撤退したいという現実主義的な外交戦略です。

武力介入時の国益の理由づけは昔から。
人道的介入のPKOですら、クリントン大統領時代の大統領令PDD25によって、アメリカの国益にならなければ出来ないことになっています。これは、ガリ国連事務総長の要請によりアメリカにとって何の国益にもならないソマリアPKOをやって大失敗をした反省によるもの。
そんなわけで、アメリカが海外派兵をするときは国益になることを国民に説明する必要があります。

なぜなら、民主主義国家では自由や人権など、理想主義的な価値観をアピールしないと有権者の支持を得られないのです。

んなことはありません。
この人はベトナム戦争を知らないのでしょうか。

オバマ政権は、国民の支持をつなぎとめるために、理想主義をやめたくてもやめられない。

オバマ政権は、空爆をしなければ、クルド人自治区のアメリカの石油メジャーの権益が脅かされると言っているんですけどね。

言っていることは間違いだらけですがわかりやすいですからね。
こういうタイプの評論家の本が売れるんでしょうね。
私は買いませんが。