ウィーン・フィルハーモニーウィークインジャパン 2025

クリスティアン・ティーレマン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団　来日公演（サントリーホール　11日）

ブルックナー：交響曲第5番変ロ長調 WAB 105 （ノヴァーク版）

ウィーン・フィル来日公演、今年の指揮者は現代のカリスマ、ティーレマンである。

ティーレマンのブルックナーということで期待した演奏会。ものすごいテンションで一気に聴かせるブルックナー5番、非常に立派な出来であり、あっという間に80分が過ぎていった。

ただ、自分の好きな演奏かと言われるとちょっと違うし、感動したというより感心したという方が正しいだろう。実際、過去にティーレマンのブルックナーは4，5、7、8、9を聴いているが、意外にもあまり記憶に残っている演奏が少ないのである。

弦は16型対向配置。木管はオリジナル通り2管、金管は各パートにアシスタント、ティンパニは第1楽章と第4楽章の最後のみ2名で叩いていた。

低音に軸足を置き、わずかにコントラバスが早く出るようなバランスである。第1楽章から第4楽章まで一貫してマッチョな表現であり、その反面、繊細な弱音は意外に聞こえてこなかった。とはいえ、やはりウィーン・フィルが演奏するブルックナー、弦の柔らかい響きや、ふっくらとした木管楽器、そして柔らかく壮麗な金管楽器の音色は格別だ。ブルックナーとR・シュトラウスはウィーン・フィルによる演奏が一番いいというのが私の持論である。

ティーレマンは当然ながら暗譜で指揮。個人的には、1、2楽章よりも3楽章、4楽章の推進力ある表現の方が素晴らしかったと思う。

コンサートマスターはライナー・ホーネック。見慣れない奏者が増えているが、見たことがなかったフルートの首席奏者はフランス出身のリュック・マンホルツ。

それにしても、ブルックナーの5番、個人的には8番に次いで好きなのだが、実演で感動することは少ない。日本のオーケストラだとなかなかいい演奏になりにくい。そのようなわけで、自分にとって現時点における最高のブルックナー5番は、バレンボイム指揮シュターツカペレ・ベルリンの来日公演（2016年）。番外編は、全く異なったアプローチで目から鱗だったミンコフスキ指揮都響（2023年）。

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会場は満席。日本のオーケストラのブルックナーに参集するブルオタとも、ウィーン・フィルのメジャーなプログラムに参集するセレブ客とも、どちらともつかない客層であった。客席のノイズは非常に少なかったと言える。

総合評価：★★★★☆

ティーレマン指揮ウィーン・フィル ブルックナー交響曲第5番（11日）

ティーレマン指揮ウィーン・フィル　ブルックナー交響曲第5番（11日）