NHK交響楽団第2043回定期公演 Bプログラム2日目（サントリーホール）

指揮：ファビオ・ルイージ

ヴァイオリン：マリア・ドゥエニャス

武満徹／3つの映画音楽

ベートーヴェン／ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61

メンデルスゾーン／交響曲第4番イ長調作品90 「イタリア」

ファビオ・ルイージによる9月定期の最後はこのプログラム。スペインの美人ヴァイオリニスト、マリア・ドゥエニャスが登場。

まずはそのドゥエニャスの弾いたベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。ドゥエニャス、昨年12月のパーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィル来日公演で、ヒラリー・ハーンの代役で同曲を演奏していた。

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そのときに比べると、今回の演奏、ホールのせいなのかかなり線が細く聞こえたのだが、正確な音程、美音とふわりとした柔らかい表情は変わらず。14型オーケストラの音色も、ルイージのキレのある指揮にもかかわらず柔らかい音色である。

今回もドゥエニャスは自作のカデンツァを演奏。自作といっても現代的なテイストではなく、曲の流れに沿った違和感のないものである。プログラムに演奏予定時間が50分と記載されていて驚いたが、これは彼女自作のカデンツァを演奏する前提での演奏時間だろう（ドイツ・グラモフォンにおける彼女の同曲の録音は49分強）。通常、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の演奏時間は43分〜45分程度である。実際には、この日の演奏時間は48分程度だった。

冒頭に演奏された武満の映画音楽、たびたび日本のオーケストラの定期演奏会で採り上げられる、古典とも言うべき作品だ。武満らしい繊細な響きとともに、わかりやすい旋律も聞こえる佳作。

後半はメンデルスゾーンのイタリア交響曲。予想通りの快速テンポだが、第1楽章は今まで聴いた同曲では最速ではなかろうか。ルイージの切れ味が鋭い解釈、一部ではせせこましくていやだという不評もあるわけだが、まあこういう曲は本当に合っていると思う。イタリア人であるルイージは、この曲をほとんど振ったことがないそうなのだが。終楽章ももちろん速めのテンポだが、N響はさすが、破綻するようなことはない。

ホルンの首席は客演で、九州交響楽団の首席奏者ルーク・ベイカー氏、オーボエは契約団員の中村周平氏。

総合評価：★★★☆☆

ドゥエニャス、ルイージ指揮N響 武満、ベートーヴェンVn協、イタリア（2日目）

ドゥエニャス、ルイージ指揮N響　武満、ベートーヴェンVn協、イタリア（2日目）