日本フィルハーモニー交響楽団　第773回東京定期演奏会2日目　（サントリーホール）

指揮：カーチュン・ウォン［首席指揮者］

マーラー：交響曲第6番《悲劇的》イ短調

3月の交響曲第2番「復活」に続き、日本フィル首席指揮者カーチュン・ウォンによるマーラー。今回演奏された6番、昨年11月の兵庫芸術文化センター管（HPAC）における演奏も超名演であったが、今回もあの演奏に引けを取らない素晴らしい演奏であった！カーチュンのマーラー、日本フィルでは4、3、9、2番と聴いてきたが、今回の6番が圧倒的に素晴らしい。

昨年のHPACではアンダンテのみタクトなしの指揮だったのだが、今回は全曲タクトなしでの指揮である。

そして、HPACでは第2楽章がアンダンテ、第3楽章がスケルツォという順序だったのだが、今回は逆で、第2楽章スケルツォ、第3楽章アンダンテという順序であった。カーチュンの志向が変わったのか、それとも順序について模索中なのか…

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第1楽章、冒頭のテンポを聴いてちょっと驚いた。遅い。HPACではこんなに遅くなかったような…決然としてはいるが、変に気負ったところがなく、音楽の流れは自然。全曲を通じてほとんどアゴーギクは使用しておらず、その点では淡々と進むのだが、音楽そのものに語らせていてかえって迫力があるのは、どこかブーレーズに共通していると言ったら言い過ぎか。

第2楽章スケルツォでは、冒頭のティンパニの強打（エリック・パケラ）に圧倒される。こんなに強烈なインパクトがある音のティンパニ、この曲で聴いたことがない。

第3楽章アンダンテではホルンの信末碩才、オーボエ杉原由希子の演奏が圧倒的に見事で、幻想的な雰囲気に満ちている。

第4楽章は非常に見通しがよく、終盤に向けてクライマックスを築いていく手腕が見事だ。HPACのときもそうだったのだが、2回目のハンマーの後、しばらくして音が静かになって、オーボエのソロからヴァイオリンのソロを経て最後のクライマックスが築かれる部分（私がこの曲で最も好きなところである）、トランペットの音の後（練習番号150の前）で短いパウゼを入れるのは、カーチュンのオリジナルである。

オーケストラのレベルが高いのに驚いた。特に金管。この曲で大変重要なホルンとトランペットがいい。前述のホルン信末、そしてこの曲で大変重要なトランペットのオッタビアーノ・クリストーフォリである。弦の艶がある響きもよかった。第1楽章展開部でちょっと飛び出してしまった楽器があったが、全体からすれば大したミスではなかろう。弦は16型で、コントラバスは10。

残念なことに第2楽章の終わったあたりだったか、どっかから音が聞こえていて、おそらくスマホが鳴っていたのではないか。3月のカーチュンの復活のときもスマホが鳴っていたのだが、もういい加減に演奏中電源切れよ…

これだけの名演だったのだが、終演後の聴衆の反応がそこまででなかったように聞こえたのは、私の座席（LD）のせいだろうか。それでもソロ・カーテンコールではかなりのお客さんが熱狂的に拍手していた。ソリストたちと登場したカーチュンは、「これから打ち上げです」と言って笑いを誘っていた。

総合評価：★★★★★

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カーチュン・ウォン指揮日本フィル マーラー6番！（2日目）

カーチュン・ウォン指揮日本フィル　マーラー6番！（2日目）