


「おかしいと思うことはおかしい」。日ごろから、自分の意見をはっきり言うようにしています。
ファンの方たちとも、インターネットを通じて何度も議論させていただいたことがありました。たとえばアイドルとしての立ち居振る舞いみたいなこと。ピアスは許されるか、茶髪はOKかなどです。私はどちらも「アイドルだからやってはいけないこと」とは思えなかったので、その時もはっきりとそう自分の意見を発言しました。ファンの方たちから賛否両論のコメントが殺到して、ブログが“炎上”。結果としてインターネットニュースのトップになり、ローカルテレビのニュースとして放送されたこともありました。予想しなかった反響の大きさにはとにかく驚きました。
アイドルも生身の女の子です。思っていることをファンの方に全て伝えることができないメンバーもいるので、私が仲介しているような感覚になってしまうこともあります。思ったことを、つい何でも言ってしまうことが多いので、メンバーからは「かおたんはすごいね」と言われることがあります。だから私へのファンの方の評価は分かれるんじゃないかと思います。もちろん批判されることもありますが、中には「正直なところがいい」という方も。今では“炎上”しないことが続くと「かおたん、おとなしくなったね」と心配されるファンの方もいらっしゃるくらいです。
私は清楚(せいそ)なアイドルのイメージとは違います。でも、いろいろなタイプの女の子がいることが、AKB48グループのいいところだと思います。私はほかの人にはない、独自路線で自分なりのアイドルの道を進みたいと思っています。
こんな私ですが、SKE48に入る前は、相手の顔色をうかがって、言いたいことが言えずに我慢してしまうタイプでした。どうして、こうなっちゃったのかはわかりませんが、どこかで吹っきれちゃったんです。インターネットという手段で、言いたいことを伝えられるようになったことが大きいかもしれません。
SKE48では終身名誉研究生をしています。一般的に研究生は正規メンバーに昇格していくのですが、私はずっと研究生という立場です。SKE48には3期生で入りましたが、同期がみんな昇格し、後輩たちにも抜かれていきました。研究生から正規メンバーへの昇格発表も最初の頃はドキドキして、プレッシャーを感じていました。だけど、そのうちに、他人事のように思えるときもあるようになりました。
AKB48グループ最年長の研究生となり「やめようかな」と思ったこともありますが、ファンの方の励ましで、「もう少しがんばろう」と踏みとどまりました。そんなときに、秋元康先生とラジオでご一緒させていただきました。秋元先生は「まだ研究生をやっているの」と少し驚いていらっしゃいましたが、「だったら、いっそのことずっと研究生でいたほうがいいんじゃない」と。私は「何言ってるんですか~」と流しましたが、それは冗談ではありませんでした。
後日、今年春のSKE48のコンサートで「終身名誉研究生」になることが発表されました。ここまで昇格できなかったのだから、正規メンバーのひとりを目指すよりも、いっそ、終身名誉研究生というアイドルの世界で唯一の存在になったほうが、私らしいのかもしれない、と思って納得しました。実際、「終身名誉研究生」になったことがきっかけで、応援していただけるファンの方も増えたような気がします。
ずっと底辺にいたからわかるし、終身名誉研究生だから言えたり、やれたりすることもあるように思います。私の場合、30代から50代で応援していただくファンの方が多いです。中にはご夫婦もいます。私の活動を見て、勇気づけられたとおっしゃるファンの方もいます。「小さいことで悩んでいる自分が情けないと思いました」「もっとがんばろうという気になりました」「あきらめないことが大切だと感じました」という声もいただくようになりました。
普通に予定調和なことばかりをしていても、ファンの方たちに楽しんでもらえないと思います。私がAKB48グループにいる限り、何が起こるかわからないということを身をもって示していきたい。いい意味で期待を裏切りたいですね。
■番記者から
座右の銘は「やらない後悔よりやる後悔」。行動しないで批判を受けるよりも、結果的に怒られるとしても、行動して得るものがあったほうがいい、という。思っていることを直球でぶつけるために、ファンの間で議論を呼ぶことも。「なんでも流されるんじゃなくて、意見をちゃんとぶつけたほうが、結果的にみんなのためになると思うんです」。アイドルの道に進んだのは、秋葉原のメードカフェでアルバイトしたとき、AKB48のミュージックビデオを見たことがきっかけ。当時18歳。AKB48は書類選考で落選。SKE48のオーディションを受けたが、最終審査で不合格。リベンジを誓った。「勉強のため」にステージライブのあるメードカフェにアルバイト先を変え、アイドルファンのお客と積極的に会話をしたとか。そのかいあってかどうかわからないが、2回目の挑戦でSKE48に合格した。合格後は同期生が次々と正規メンバーに昇格する中、研究生として取り残されたが、今春、終身名誉研究生の肩書が与えられた。正規メンバーへの昇進資格は失うが、本人は「私だけにしかない肩書」と前向きに受け止めている。
人気には好影響を与え、今年6月の選抜総選挙では、34位から24位に大幅アップした。
将来はバラエティータレントになることを希望している。時間のあるときはニュースもよく見るという。政治やエネルギー問題など幅広い分野に関心がありそうだが、聞くと、確かに自分なりに意見もあるようだが、アイドルとしては、ちょっとストレートすぎ? なので、ここでは割愛するが、いつかアイドル出身の“ご意見番”としてバラエティー番組をにぎわせる日が来るかもしれない。(大西元博)