ここはよいと思う。
現金しか使えないのが難点だが、明朗会計だし、料理もおいしい。
もちろん、探せばいくらでもおいしいところはあるのだろうが、探して失敗すると、一食は大きい。


お客さんは、ほとんど地元の人のようだ。英語も、ドイツ語も、フランス語も、イタリア語も聞こえてこない気がするので。


メルケルもお気に入りのお店だったらしい。ホントかどうかはわからないけど。


いつもほとんど満員で、席を取るのが大変といえば大変なんだけど。


タルタルにしました。
これもおいしい。


揚げたようになっているパンが付く。
ニンニクが付いていて、これをパンにこすりつけて食べるのが流儀のようだ。
パンの表面が堅くざらざらになっているので、ニンニクがよく削れて、味がしみこむ。



このパンにタルタルを乗せ、タマネギ、ケチャップ、マスタードをお好みで乗せて食べる。


ビール二杯とタルタルで、356コルナ。現金なので、十倍して3560円なら、十分リーズナブルだと思う。
繰り返しで恐縮だけど、ロンドンなら麻婆豆腐一つでこの値段だ。


ということで、三回目。
ここはいつも混んでいて、地元の常連客も多いようだ。だから、一見さんはどこか入り方にくい感じがあるかもしれない。


心構えがある。
まず、お店に入る。満員で、座る席が見あたらない。料理ウェイターも、ビール汲みのおっちゃんも、ビールウェイターも、忙しく働いている。


入ってきても、ほとんど無視される。しかし、ここであきらめてはいけない。おそらく観光客であろうアベックがやってきて、一向に席に案内されないし、ウェイターに相手にもされないので、すごすご帰って行くのを何度も目にした。


ここは待つのである。
ぽつねんと。
相手はベテランのウェイターである。客が入ってきて、気がついていないはずがないのだ。
重要なのは、ここで定員に話しかけてもいけない、呼び止めてもいけない、手を振ってアピールするなどもってのほかである。


慌てるいけない、よく見るよろし。
なにしろウェイターは、こちらの存在に関しては、100も承知で認識しているのだ。
すると、10分もしないうちに、ここの席でどうだ、と、席に案内してくれることになる。


全てテーブル席なのだが、6人席に、4、5人座っているテーブルがあると、お客さんに詰めるようにウェイターが話して、一人二人ならそこに押し込んでくれる。


そういう流儀をみんなわかっているので、すんなりと、席につける。
隣は見知らぬチェコ人だが、お互いを気にすることもない。
ウルケルは注文しなくても勝手に運ばれてくる。後は、悠然とウルケルを飲みながら、プロのウェイターが注文を取りに来るのを待てばよいのである。
さすがに、三回も通っていたので、ウェイターは、Hello Friend と無愛想な表情で言葉を発し、おもむろにメニューを私に手渡した。