ウェストミンスターにある地下壕です。第二次世界大戦中に、チャーチルと閣僚がここで執務を取ったという場所です。今まで来たことがなかったのですが、近くを通ったので、立ち寄ることにしました。
入り口でチケットを買って中に入ります。政府関係者と一緒に入ったので、ディスカウントされて£17でした。ディスカウントされないと£22だったと思います。結構な値段がします。入口があまりにも小さいので、そうとは思わなかったのですが、中は相当に広いです。イギリスの閣僚がここで、戦時に指揮を取っていたわけですから、そのくらいは必要なのでしょう。
入ってすぐに展示してあったのは、爆弾です。こちらは、ナチス・ドイツの爆弾です。バトルオブブリテンで、ドイツの爆撃機がロンドンに落としたものです。そんな状況ですから、チャーチルをはじめとした閣僚が地下の防空壕で指揮を取らなければならなくなったわけです。ドイツはV1,V2といった長距離ミサイルも開発して、ロンドンを攻撃していましたから。
戦時の会議室です。
地下に降りる階段が見えます。コンクリートで固められています。
閣僚の執務室、会議室があります。
無線通信室です。ここからチャーチルがBBC放送で演説をしたそうです。
タイプライターの部屋です。女性の職員が10名以上いて、この防空壕でタイプライターを打つ仕事をしていたそうです。
地下には広大な空間が広がっていました。地下の広い敷地を利用して、チャーチルの博物館も併設されていました。チャーチルが、第二次世界大戦時に首相に就任した時には、60歳を超えていたそうです。功罪はあるのでしょうが、第二次世界大戦を勝利に導いた救国の英雄なのでしょう。これだけ、立派な個人のための博物館を国が運営している、ということは、日本ではあまり思い当たりません。
イギリスは戦勝国です。ロンドンには、戦争に関連する博物館がいくつもあります。日本にはそういった博物館があまりないのではないでしょうか。第1次、第2次大戦ともイギリスは負けませんでした。勝利者の側は、戦争に勝ったことに誇りを持ち、こうした博物館を作るのではないかと思います。展示の内容は、二度とこうした過ちを繰り返さないように、という内容とは全く異なります。
以前、イギリスのローヤルエアフォース博物館を見学したことがありますが、そこでは、短い映画が上映されていました。内容は、悪の帝国、ナチスドイツが、海を渡って、イギリスに攻めてきた、それを打ち破ったのが我ら誇り高き、ローヤルエアフォースだ、という内容です。それをみて、見学に来ていた子供たちが手を叩いて、歓声を上げていました。日本では信じられない光景です。戦争に勝った側と負けた側というものは、ここまで違うのかと思った覚えがあります。
ローヤルエアフォース博物館には、ナチスドイツの急降下爆撃機Ju87スツーカや、日本のゼロ戦が展示されていました。敵国の戦闘機をそうして展示するのは、自分たちが、それと戦って見事に勝利を収めたから、という意味合いがあるような気がします。このチャーチルの地下壕でも、一番最初に、ナチスドイツの爆弾が展示されているのも、同じ感性なのかと思いました。
ショップでは、チャーチル関連グッズが充実していました。地上に上ると、この地下壕入り口には、長い列ができていました。人気の観光スポットだったのですね。