このようにして、ストラスアイラで製造されたシングルモルトは、他の蒸留所のウィスキーと混ぜ合わされ、シーバスリーガル、として世界に向けて出荷されることになりました。シーバスリーガルは、確かに世界的に有名で、日本でもスーパーマーケットに行けば手に入ります。写真に、シーバスリーガル、という名前が貼ってあるのは、そういう理由になります。シーバスリーガル、という蒸留所があるわけではないのです。
現在、ストラスアイラ蒸留所で生産されるウィスキーの90%は、ブレンドされたシーバスシーガルなのだそうです。どれと、どれを、どのくらい混ぜて、シーバスリーガルを作るのかは、極秘の情報だそうです。ガイドさんによれば、シーバスリーガルの中に占める、ストラスアイラの比率は、5~10%程度とのことです。シーバスリーガルには、モルトウィスキーだけでなく、グレンウィスキーも混ぜているそうです。
上の写真、このウィスキーは、ストラスアイラのシングルモルト12年です。つまり、このストラスアイラ蒸留所で作ったシングルモルトなのですが、そこでもシーバスリーガルという名称が入っています。以前は、ストラスアイラのシングルモルトには、シーバスリーガルの名称は、貼られていなかったそうですが、数年前に、経営方針から、ここで出荷されるウィスキーには、全てシーバスリーガルの名前が入るようになったそうです。
まぎらわしいですよね。シーバスリーガルと名前が入っていれば、誰しも、ブレンディッドウィスキーだと思いますから。少しインターネットで調べてみたのですが、「ストラスアイラのシングルモルトはもう売られなくなってしまった。全てシーバスリーガルになってしまった」という内容の記事が見つかったりします。実は、そうではないのですけれど。
一番上の写真には「Single Malt Scotch Whisky Strathisla 12」と表記されています。シーバスリーガルという名前が大きく表示されていますが、これは、まごうかたなき、ストラスアイラのシングルモルトなのです。ガイドツアーのお姉さんが、このウィスキーを試飲に出すときに、「これは、ここのシングルモルトです!」と言って、ラベルの上部に大きくかかれたシーバスリーガルの文字を笑いながら手で隠して注いでいたのが印象的でした。他と混ぜ物をしないままの、ハイランド最古の蒸留所、ストラスアイラに誇りを持っているのだと思いました。
このストラスアイラのシングルモルトは、お土産に購入したのですが、そこそこの種類のウィスキーがあり、全てシーバスリーガルと銘打ってあるウィスキーの中で、シングルモルトを探し当てるのは、それなりに至難の業でした。ガイドをしてくれたお姉さんが、売り子もしていたので、何度も確認して購入したのでした。お姉さん自身も、本当に紛らわしいです、と話していました。