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バンコクの夜は異様なほどの熱気がある。

日本人向けの区画があって、そこでは

流暢な日本語を話すお姉ちゃんたちが店先で

お出迎えしている。


今回はその話じゃなくって、外国人向けに詐欺が

横行しているって話。

日本人がまず向かうのはスクンヴィット周辺にある

ショッピングセンターはさておき、寺院周辺だと

思う。ワットポーってタイ王室の寺院があるんだけど、

そこはしょっちゅう、外交上の理由とか、高官や

王宮の理由で閉まる。その間に観光客は締め出される

んだけど、そこで売り込みがはじまる。

下手ではない英語で、話かけられて日本には知り合いが

いるだの、歴史に興味があるだの、友好的なことを

言い出す。今日はワットポーしまってアンラッキーだったけど

代わりにラッキーブッダっていうのがあるよ。それに

今はタイシルクのバーゲンも近くでやっているよ。

それから、タイにきたならこの2つは見ておいたほうがいいよ。

って言ってくれる。

親切にトゥクトゥク(低排気量のバイクを改造したタクシー)

まで取ってくれる。


そこから悪の連携がはじまる。別の寺院は15分くらいの

距離にあり、そこには別の仕掛け人がいて、信仰深げに

お祈りをしている。こいつは話しかけてくるなと直感したら

案の定近づいてきて、どこからきたのか、私はタイの

ビジネスマンだが、近くでシルクのバーゲンやっていて

自分は5着買って、2割割りびきしてもらった、だの

話をしている。これが話がうまい。

どこも仕掛け人はただのパスする人で、あとは巧妙に

後工程に携帯ででも連絡しているのだろう。


最後は工場直営といわれるタイシルク屋でスーツや

コートを作るという嘘話にひっかるかどうか。

ここでは巧妙な英語で、いかにも有名ブランドに

卸しているのだと、雑誌や商品タッグだけを

見せながら嘘話を展開させる。


こうして騙されて購入する人も多いのだ。

一着5万円。本来価格は20万だといわれ、クレジットカード

は使えず、キャッシングで引き出させようとする。

商品は届くが、シルクには程遠く、安物ののヨレヨレで

寸法も適当な品が2-3ヶ月で届く。


仏様の前で嘘を平気でつく。これだけ英語が出来るなら

別の仕事もできるだろうに詐欺行為に加担する。


高いところから水は流れる

といった発想のもと、金がある人からはふんだくって当然。

それが詐欺や嘘もあり。こう思っている東南アジア人は

たくさんいる。素敵な笑顔で純朴な性格で日本のことを

尊敬している・・・だなんて日本人が勝手に作った幻想だ。

金や資本が物を言わせているだけだ。

戦争が生んだ憎しみだって簡単には消せはしない。