こんばんは、地域リハビリのスペシャリストを目指しているたけじゅんです。


今日は、ピアズ金沢障害者交流会のメンバー(一部)と、高次脳機能障害についての情報交換会を行いました。

会の趣旨は、皆様の高次脳機能障害を持って生活し、働いている経験を話し合い、それぞれの苦労や工夫を共有することです。

高次脳機能障害はとても幅の広い障害で、広義には認知症も含まれる場合があります。

記憶障害や、注意障害、感情コントロールの障害や、空間無視、失認、失行、遂行機能障害、見当識障害、コミュニケーション障害など様々な症状があり、人によって1つしか症状がない方もいれば、複数合併している方もおり、障害の程度も様々で、まさに千差万別。しかも周りからは理解しにくいいわゆる「見えない病気」というのも、この障害の難しい点です。

また、高次脳機能障害は自覚しにくい(認識しにくい)という難しさがあります。

この集まりでも、周りの人に指摘されるけど、自分がそのような状態になっているのかいまいち納得がいかないと感じている方がほとんどでした。

脳卒中の運動麻痺(手が麻痺して動かないなど)のように、わかりやすい障害は、自覚しやすく、それ故にどう対応していくかを考えることができます。しかし、高次脳機能障害は、自覚することができないため、対応を考えていくこともできません。高次脳機能障害と付き合っていく第一歩は、症状を自覚することにあるのではないかと私は思います。

とはいえ、入院中の管理された環境では、高次脳機能障害はあまり表に出てきません。自宅に戻り、自分で考えて行動する(高次の脳機能を使う)必要性が生じて初めて、高次脳機能障害の症状が表れることが多いと思います。仕事など社会に出るとさらに高次な脳機能が求められ、高次脳機能障害を持つ方の社会復帰の大きな壁となります。

ある方は、自分が発した言葉がどうやら場にそぐわない発言だったことを指摘されたが、自分ではそれがわからないと話していました。

またある方は、仕事でいっぺんに3個も4個も指示を言われるとこんがらがり、途中から聞き流していると話していました。

それでも、こうして「変だな」と気づいた方は、何らかの工夫をして対応していました。

たとえば、

ICレコーダーで録音したり、メモ帳を使って記憶を補っている方もいました。

職場の仲間に自分の症状をあらかじめ伝えておくという方もいました。


また、退院後に、高次脳機能障害を持って社会復帰するにあたって、誰に相談すればよいのかわからなかったという方が多くいました。そもそも自覚もないことが多いので、相談の必要性すら感じないという場合もあるようです。


今回の集まりで、当事者でない私の役割は、当事者の声や情報を集約し、わかりやすく発信することと認識しています。今回の話し合いで集まった先輩方の経験を、地域のどこかに住む後輩達に、どのように伝えていくか、考えていく必要性を感じています。もっともっと勉強し、いろんなネットワークを作って、障害を持ちながら生活することを支えていけるように努めたいと思います。