私は仕事で、調理を希望される障害を持った方に対して調理訓練を実施しています。
訓練にはいろいろな障害、生活背景を持った方々がおり、料理の技術レベルも様々です。
元料理人から、一人暮らしのためはじめて料理をする方まで同じ時間枠で担当しています。
もちろんそれぞれの目標やレベルに応じたレシピを個々で用意しており、使用する料理本も利用者によって異なります。
この時、対象の利用者さんの技術や理解度・目標などに応じて料理の難易度を変えているのですが、そもそも料理の難易度ってなんでしょうか?
これは私の実感でしかないのですが、
①食材の種類が多いと難しい
②調味料の種類が多いと難しい
③使う道具が多いと難しい
④調理工程が多いと難しい
⑤作る品目が多いと難しい
そして
⑥レシピの情報量が少ないと難しい
以上の6つの要素が関係しているのではないかなと思っています。
①~⑤は、扱う種類や量が増えればそれだけ頭を使いますし、調理工程も複雑化します。
一方⑥は、たとえば調味料の分量や食材の切り方などが細かく記載され、写真入りで手順の書かれたレシピは初心者向けで、文字だけのレシピは上級者向けと言えます。
これらのことを踏まえて、対象者の能力と、レシピ本の難易度を比較検討し、この利用者さんにはこのシリーズのレシピを、この利用者さんには別のシリーズをと選択肢をこちらで絞って提示しています。
難しすぎる課題は、結局助けを要し、成功体験に結びつかないことも多く、難易度を対象者に合わせることはとても重要なことと認識しています。
練習を重ね、利用者さんが自宅で料理ができるようになったり、次のレベルの料理本にステップアップした時は、目一杯褒めて喜びを分かち合います。
料理を獲得することは、役割、アイデンティティ、自己効力感など、モチベーションの向上に大きな影響を与えます。
調理訓練を通して、多くの方のモチベーションを上げることができたら…作業療法士冥利ですね♪
