死について深く考えるようになったのは
いつからだろう?


医学生の時、外科の授業の課題で、
エリザベス・キューブラー=ロス氏の書いた
死ぬ瞬間』を読む機会があり、
死に至る過程というものを学んだが、
まだまだ深く考えてはいなかった。


研修医が終わり、
外科の医局に入局した。


外科では主に、
手術して元気に退院する
患者さんを診ていたが、
当直バイトの時など、
時々看取りを経験していた。


病院で看取る患者さんには
必ず心電図モニターが付けられ、
心電図の波形が平坦になると、
看護師から当直室に連絡が入る。


バイトでたまたま当直していた病院であり、
患者さんの主治医であった訳でもなく、
死んだ後にほぼ「はじめまして」で
死亡確認をする。


当直バイトの翌日も、
普通に手術をしたり
診療したりしていたので、
体力温存のため、
なるべくパパッと看取りを済ませよう。
そんな風に、
作業として捉えていたように思う。


また、生前に担当していた
思い入れのある患者さんが亡くなっても、
悲嘆に暮れることの無いよう、
上の先生から指導される。


これから何度も看取る経験をするのに、
いちいち動揺していては、
プロフェッショナルとは言えないと。


そういった作業は、
回を重ねるたびに
うまくこなせるようになっていった。


つづく。