皆さんこんにちは。

本日は「公平と平等の違いについて」をテーマに書き留めたいと思います。

 

ダイバーシティに関する講演を聴いた際、講師に以下のような絵を見せていただきました。

 

 

平等(Equality)とは、左の図のように大人から子供まで同じ高さの台に乗っていることであり、 台の高さという権利とか補償が誰にも同じように与えられている状態です。一方で公平(Equity)とは、フェアなこと、すなわち不正がないことです。 右の図にある通り公平とは、野球観戦という目的が誰もが達成できるように台の高さが調整されている状態のことを言います。

 

でも、この絵の場合には、台が3つあって、その3つを上手く分け合えば全員が野球観戦をすることが出来ましたが、白いフェンスがもう少し高くて、一番左のお兄ちゃんも台に乗らないと観戦ができなかった場合はどうでしょう。

単に考えれば台は4つ必要になります。でも現実には台は3つしかないので、もしフェンスがもう少し高ければ、お兄ちゃんも、あるいは真ん中のお姉ちゃんも見えなくなってしまっていたかもしれません。

 

これ目的が野球観戦の例ですが、その目的を企業生活や社会生活だと変換して考えれば、限られた資源(資金やサービスなど)を如何に分配するのが適切なかじ取りなのか、深く考えさせられます。

 

原則論でいえば、「平等」は社会生活のベースに存在すべきものかと思います。けれども、すべて平等で社会が成り立つのかといえば、私は無理があると考えます。人間は、生まれながらにしてそれぞれの人間に与えられた才能(タレント)は異なります。そのデコボコをすべて均一化してしまうのが平等思想で、そのような思想を持つ社会体制が、世界の中で現在も受け入れられ難い評価を受けているのは皆さんもご存知の通りでしょう。

徒競走をみんなで手をつないで全員が一等賞になる、すなわち勝ち負けを作らない、といったやり方が批判されたのも同じことかと思います。

 

では「公平」が優れているのか、といえば、それも必ずしも腑に落ちないところもあります。

この絵の野球観戦では、台を融通することで兄弟3人仲良く野球観戦することができました。企業生活でいえば、能力のある人がまだ能力の足りない人に技能やスキルを教えることで、不慣れな人も成長していき、最終的に企業体として成果と成長がもたらされる・・・そのようなお互い様の論理で結果が伴えば良いのでしょうが、現在の日本の企業が置かれた状況は果たして教科書通りに経営することができるほど安定しているとは思えません。ただでさえ経済環境も変化が激しく、地政学的リスクも日増しに大きくなるような環境にあって、縮んでいく市場の中での企業間競争をしながら、未熟な能力の乏しい部下のために、管理者や監督者が、その部下たちの成長を親代わりに教えていくような余裕が無くなってきているのが現状だと思います。

 

それでも若い未熟な部下たちが、何とか自力で独り立ちできるようにと一生懸命仕事に取り組んでいる姿勢が見えれば、管理監督者としても我慢しながら教えていこう、と思えるでしょうが、その努力や姿勢も見せずに、「自分は背が低いから2台よこせ」みたいな態度をされれば、教える気も無くなってしまいますよね。中間管理者の悩みは、こういうところにもあるのだと思います。

 

「公平」とは、現時点である面での能力差があっても、それに代わる能力を持っている、あるいは不足能力は補おうと他者よりも強い気持ちを持って組織貢献しようとする人間に、将来を期待して台を回すような調整のことを言うのだと思います。

 

平等しかり、公平しかり。

権利過剰な人間だけが集まったら、企業であろうと国であろうと成り立たないです。権利の背後には、それに伴う責任もあることを、幼少期や学生時代に知ることこそが本当の教育なのだろうと思います。

 

最後までお読みくださりありがとうございました。

2023.7.16 #297

 

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