3.11が南関東に及ぼす影響について(日本地震学会のメーリングリストへの投稿記事)
[nfml:7653] 3.11が南関東に及ぼす影響について
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"A post-Tohoku earthquake review of earthquake probabilities in the Southern Kanto District, Japan"
についてです。
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まず、この論文で大きな地震の発生の心配がないとされる1923年関東大震災が発生した地域については、述べられている通り、あまり発生確率が大きくはなっていないのだろうと思いました。1923年関東大震災の震源地がどこか、はっきりしていないようですが、一応、相模湾内の小田原方面であると仮定すると、相模トラフの西半分に当たり、311大地震で影響を受けやすいのは、太平洋プレートにより近い東半分であるはずだからです。
東日本が載っているオホーツクプレートを長方形と仮定して、それが伊豆半島の根元を中心に311大地震で時計回りに少し回転したとすると、当然、相模トラフの伊豆半島の根元から遠くの部分の変位が大きくなります。この意味でも、1923年関東大震災が小田原あたりで発生したとすれば、そこで再度大地震が発生する可能性は低いと考えられるのだと思います。
疑問に思ったのは、房総半島南東沖の三重会合点のことが少なくとも明示的にはまったく取り上げられていなかったことです。相模トラフで起こる巨大地震には二種類あり、一つは1923年の関東大震災タイプ、もう一つはより大きな1703年元禄関東地震タイプです。
ウィキペディアの「相模トラフ巨大地震」( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B8%E6%A8%A1%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%95%E5%B7%A8%E5%A4%A7%E5%9C%B0%E9%9C%87 )にも、「1703年元禄関東地震および1923年大正関東地震」が取り上げられていて、1923年のものの震源域がほぼ相模湾内に収まるのに対し、1703年のものの震源域は房総半島の南東沖にまで震源域が達しています。震源域が房総半島の南東沖にまで広がっていることは、相模トラフの内、東半分が主に活動したことを意味していると思います。つまり、三重会合点に近い場所が活動したわけです。
三重会合点を構成する日本海溝の東方で311大地震が起こり、日本海溝で太平洋プレートが大規模に沈み込んで行っているわけですから、311大地震の影響は、相模トラフの西半分よりも、三重会合点付近でより強く表れると考えるべきではないのでしょうか。
また、”OFF BOSO”という表現が繰り返し使われていて、この言葉が房総半島のどの部分を意味しているのか、あいまいだと思いました。図5にOFF BOSOという地域が示されていて、三重会合点がその地域の南東の隅に位置するとされています。"the Off-Boso region"がこの図示された地域を指していることは分かるのですが、"off the Boso Peninsula"という表現も出てきていて、こちらが同じ意味なのか、それとも多少違う意味合いなのか、はっきり分かりませんでした。
更に、"the Off Boso Segment"とか"an Off Boso earthquake source"いう表現も出てきます。これも、"the Off-Boso region"と同じなのか、よく判断が出来ませんでした。
自分の誤解があるのかも知れませんが、"The Off Boso segment of the Japan Trench"という表現の意味は、房総沖地域の太平洋プレートとオホーツクプレートの境界域を意味していて、そうであれば、房総沖のゆっくり滑りによって応力が解放されているといる地域と言うのが、このプレート境界のことのみを意味していることになります。つまり、フィリピン海プレートとオホーツクプレートとの境界では、応力の解放はされていないと言うことなのか、判断が付きませんでした。
"instead of accumulating tectonic strain, the Off Boso segment is creeping in an aseismic manner"と書かれていますが、この意味は、ひょっとしたら、"the Off-Boso region"は日本海溝を東の端に、相模トラフを南の端に含んでいるので、両方のプレート境界での応力減少が起こっているということかと思いましたが、判断が付きませんでした。
*1:
"the Pacific - Okhotsk subduction zone east of Tokyo including the Off Boso segment has low seismic potential, although GPS data in the far offshore region are needed to confirm this conclusion" とあるのは、明らかに、この文章での"the Off Boso segment"が太平洋プレートがオホーツクプレートの下へ沈み込むプレート境界のみを意味してることが分かります。
そして、もし、"the Off Boso segment"が太平洋プレートとオホーツクプレートの境界だけを意味しているとしたら、相模トラフ、つまり、フィリピン海プレートとオホーツクプレートの境界でのことが全く蚊帳の外になってしまっているのだと思いました。
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銚子沖では非地震性の滑りが起こっているということですが、このあたりは主に正断層型の浅い地震が発生していると言うことで、非地震性の滑りの発生があることには納得がいきます。自分は、このあたりでは沈み込んでいる太平洋プレートに海山があって、その先端が陸のプレートを突き上げることで浅い正断層型の地震が起こっているのだと思っています。基本的に、銚子沖全体で海のプレートと陸のプレートとの固着が弱く、そのために、少し太平洋上の海山の頂きが移動するごとに、陸のプレートが下から突き上げられて、正断層型の地震を起こすのではないでしょうか。
そして、結局のところ、房総沖で太平洋プレートが非地震性の滑りによりどんどんと西へ滑り込んでいるのであれば、同じ房総沖の地域で、フィリピン海プレートはどんどんと応力を貯め込んでいることになるのではと思います。
この1週間程度で発生している房総半島南東沖の三重会合点での群発地震が、主に太平洋プレートの沈み込みで起こっているのか、それとも、フィリピン海プレートの沈み込みで起こっているのか、はっきりしません。ただ、震源域の分布が、Hi-net自動処理震源マップの「最新30日間」、「東日本」( http://www.hinet.bosai.go.jp/hypomap/mapout.php?_area=KANTO_MAP&_period=7days&rn=78880 )を見ると、どちらかと言えば東西方向に広がっているように見えますから、少なくとも、ある程度はフィリピン海プレートの沈み込み面が関連しているはずです。
1703年元禄関東地震の前、50年程度では、311大地震とほぼ同等規模の地震が東日本の太平洋側では起こっていません。このことの意味が、今後、1703年元禄関東地震をはるかに超えた大地震が関東地方を襲うことなのか、それとも、そうではないのか、自分ではハッキリとした判断ができません。
定性的にのみ考えると、1703年元禄関東地震よりも大きな地震が、現在発生しつつあると考えることになるのではと思います。
2016年9月28日 武田信弘
2016年09月29日10時00分 武田信弘 ジオログ(http//geocities.yahoo.co.jp/gl/taked4700)はヤフーブログ(http//blogs.yahoo.co.jp/taked4700)へ移行しました。CN:98445 SN:3890