バーゼル委員会による金利リスク規制
4月3日の報道「バーゼル委の金利リスク規制、資本積み増しと監督対応の両論併記へ=関係筋」( http://www.asahi.com/business/reuters/CRBKBN0MU0WR.html )によると、国債などの公的債務の積み上がりによって、インフレ時に逆ザヤが発生して銀行経営が影響を受けることを避けるために、バーゼル委員会は自己資本の積み増しかまたは金融当局による監督強化か、どちらかの規制をとることを来年3月までに決定するということです。貸出金利も借入金利も常時変動していますから、一定のモデルを決めて、リスク量を計算することになります。ドイツやイギリスは、リスク量によって一定の自己資本積み増しを強制する規制を主張し、アメリカと日本は各国の監督官庁の対応でいいとしています。
背景あるのは、公的債務の積み上がりであり、公債を発行しやすくするために金利を低く抑えている現状があります。EUもアメリカも、そして当然日本も、景気を維持するという口実で、政府部門が国債を発行しそれを中央銀行が買い上げることで市場にお金を大量に供給しています。お金がある意味じゃぶじゃぶ状態ですからいつでもインフレになる可能性があり、大きな逆ザヤが発生して金融機関が深刻な影響を受けることは十分にあり得ることです。
世界中の国ごとにいろいろな事情があると思いますが、日本に於いては、GDPとの比率で格段に公的債務が積み上がっていて、しかも、その公的債務の中核を占める国債を日銀がほぼ単独で引き受けつつあると言う事があります。そして、危惧するのは、日本の将来のエネルギーを担うであろう地熱発電に対する影響です。地熱開発は10年程度の開発期間がかかることが普通とされるためにどうしても金融機関の長期間の貸し出しが必要になります。長期の取引は当然金利リスクを高めるのです。国際的な金利リスク規制は、日本に於いては地熱開発に対するブレーキとして機能する可能性が高いと思います。
バーゼル委員会による規制で、日本は痛い目にあっています。バブル崩壊後の自己資本規制をクリアするために銀行がやった貸しはがしです。経営が順調な企業を数多くつぶす結果になりました。
現状で、国債などの公債は自己資本としてはリスクゼロと定義されていますから、日本の金融機関は相当程度に公債を保有しています。しかし、財政の実情から言って、公債の償還はかなり無理になってきています。インフレによってチャラにするしかない状況になりつつあり、当然、インフレの過程で公債を持っている方は多大な損害を被ります。その意味で、インフレ時に耐えられないような損害を被ることがないようにしようというドイツの主張はとてもまっとうなものです。
アメリカは日本と同じ主張をしていますが、何らかの事件をきっかけにドイツと同じ立場に転じる可能性が高いと思います。通貨安による国債価格暴落はどこでも起こり得ることで、南米の国やギリシャ、スペインなど日本以外でも可能性がかなり高い国はいくつもあります。なぜなら、「各国金融当局による監督対応」が今までなされてきた結果公的債務の積み上がりと言う現状があり、各国当局による規制が実効性を持ってこなかったがために金利リスクが高まっている現状があるからです。
日本の場合、政治家が果敢に増税の必要性を一般市民に訴えることに腰が引けている面があり、その意味は公務員待遇が一般に民間よりもかなりいいことがあります。つまり、公務員に現実の社会の管理体制が根深く組み込まれていて、公務員待遇を引き下げると、現実の社会管理が出来なくなるという恐怖があるのです。このため、30年以上、本来増税が必要であったのにそれをしてこなかったことが、ニッチもサッチも行かない現状を作り出したのです。
日本社会は、身動きが取れないまま、全体的な破滅へ突き進んでいるように見えます。多分、破滅のきっかけはそう遠くない将来に訪れるはずです。対策としては、現状で輸入に大きく依存しているエネルギーと食糧について、自立をすることです。エネルギーについては原発再稼働に動きがちですが、長期的に見ればいい選択ではありません。長期的に見て正しいのは地熱しかありえません。食糧については、TPP加盟よりも別の方策があるはずだと思います。なお、アメリカのシェール開発では、オイル回収の時の副産物で熱水が回収でき、それを地熱発電で使うというプロジェクトが始まっているそうです。「シェール層の水圧破砕の廃水、クリーンな地熱発電に利用へ 2015/04/23 11:00 JST」( http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NN8H7G6JTSE901.html )どうも、一年程度しかできないオイル回収が済んだ後も、熱水は井戸から出続けるということらしく、アメリカのシェール開発は、本来、地熱開発を意図していたはずです。
2015年4月27日10時50分 武田信弘 ジオログ(http://geocities.yahoo.co.jp/gl/taked4700)はヤフーブログ(http://blogs.yahoo.co.jp/taked4700)へ移行しました。CN:17036 SN:3522