菅直人元首相が安倍現首相を名誉棄損で提訴されたことに関しての懸念

 菅直人元首相が、福島第一原発事故処理に関して、安倍首相の発行されているメールマガジンの記事が事実無根であり、名誉棄損に当たると本日7月16日に提訴をされた。

 現場で既に始まっていた海水注入を菅首相の指示で一時中断させようとしたというメールマガジンの内容が事実ではなく、訂正を求めているが放置されているというもの。

 福島第一原発事故についてはあまりに隠ぺいされていることが多く、何が真実であるか、なかなか分からないというのが素直な印象です。それでも、海水注入については、菅直人首相の言われていたことがより真実に近いのではと感じます。以下、その理由。

1.メールマガジンの記載では菅直人元首相が海水注入の中断を要請した理由は「俺は聞いていない!」と激怒したからだとされている。しかし、海水注入をしなければメルトダウンが深刻化することはすぐに分かることで、単に聞いている聞いていないで判断できることではない。その意味で、このメールマガジンの文章そのものが不自然。

2.安倍首相のメールマガジンの日付は2011年5月20日、菅直人元首相が浜岡原発の停止要請をされて浜岡原発が停止をしたのが5月6日。浜岡原発の運転停止要請は当時菅直人元首相の大英断だと言われていて、このまま全国の原発が停止し、そればかりか原発廃炉へ政府が舵を切ることが期待されていた。そのため、菅直人元首相の勢いを押しとどめる動きが原発推進派によってされ、そういった働きかけが安倍首相にされた結果、それを安倍首相が本当だと誤解をされてしまった可能性がある。

 ともかく、福島第一原発事故で、菅直人元首相へきちんと情報が伝わってきていなかったことはほぼ明白。例えば、菅直人元首相は自分の個人的な友人を内閣参与に任命されて、事故処理について相談しなければならない事態に追い込まれていました。また、東電本社に乗り込んで当時の細野豪志首相補佐官を東電本社に常駐させ、政府と東電の「統合対策本部」を設置させています。つまり、もともと、311の福島第一原発事故は事故直後から政府の当事者能力は失われていて、そればかりか、東電本社の事故対応能力も失われていた可能性があるのです。ですから、当時の、または、今現在でもですが、日本の政治家、官僚の方たちの福島第一原発事故に対するコントロール力はほとんどないというのが事実ではないでしょうか。

 今回、菅直人元首相が提訴に踏み切られたのは、ネット上で繰り返される根拠のない非難があるはずです。このままでは脱原発が達成されないのではないかと言う危機感があったのは間違いがないでしょう。

 しかし、安倍現首相にしても原発が必ずしも望ましいエネルギーではないと明言をされています。それどころか、安倍首相が就任されたとたん、アルジェリアの天然ガス施設で非常に不自然なテロが起こり、日揮の社員の方が惨殺されるとか、エジプトやグアムで日本人観光客が死亡するという事件が起こっています。2007年の安倍政権でも非常に不自然な形で安倍政権の不祥事が続発し、退任へ追い込まれたわけです。背景にあるのは、対米追従からの脱却であるはずです。

 菅直人元首相にしても安倍晋三現首相にしても、なんとか対米追従の現状をどうにかしたいとかなり熱心に動かれているのだと思います。

 危惧しているのは、結局、本来ともに日本の独立を求めようとする動きが同士討ち、仲間割れになり、両者ともに傷を負ってしまうことです。

 イラクにしてもシリアにしても、またはリビアにしても、その他の多くのアフリカの国々にしてもほぼみな仲間割れを誘導された結果、そこを付け込まれ、国力そのものが衰退し、貧困に苦しむことになっているのです。

 今の時期は戦後日本の体制の総決算をすることがせまられているのだと思います。それだけ、いろいろな形でコントロールする力が働いているのです。今回の菅直人元首相の提訴によって、福島第一原発事故の真実がより明らかになるのであればそれはよいことだと思いますが、単なる泥仕合に終始するようであれば、日本全体にとってもいいことではないはずです。
 
2013年07月16日22時15分 武田信弘 ジオログのカウンターの値:26754