スギ花粉の重さは2×10マイナス9乗グラム程度であるということです。よって、もし、プルトニウムがスギ花粉と同じ重さの塊で飛散したなら、その中に含まれるプルトニウム原子の数は、(2×10マイナス9乗)÷(239÷(6×10の23乗))で求められます。これを計算すると、ほぼ5×10の12乗となります。なんとこれは5兆個という数なのです。スギ花粉と同じ重さのプルトニウムエアロゾルには5兆個のプルトニウム原子が含まれていることになるのです。

 プルトニウム239半減期が約24000年ですから、ほぼ24000年で2兆5000億個が崩壊することになります。24000年を25000年で近似して簡便化すると、1年で1億個が崩壊することになります。これはざっと計算すると1秒で10回崩壊することになるのです。

 このエアロゾルの重さはスギ花粉と同じという仮定でしたが、プルトニウムの比重はスギ花粉と比べてずっと重いわけで、大きさはスギ花粉よりもずっと小さいものになってしまいます。そのため、現実には、エアロゾルの状態のままで、または空気中のチリなどに簡単に付着して、かなりの距離を簡単に飛散するはずです。そういった微粒子をたった一つ肺に吸い込んだだけで、一生毎秒10回のアルファ線がその微粒子の周囲の細胞に向けて放出されることになるわけです。

 なお、現実に飛散しているプルトニウムは2酸化プルトニウムとか、またはその他の硫酸塩、硝酸塩、水酸化物などの形になっているはずです。そのため、一つの微粒子の中のプルトニウム原子の数はかなり少なくなるはずですが、それでも数分に一回とか、せいぜい数時間に一回程度の頻度でその微粒子の周囲にある細胞がくり返しくり返し放射線を浴びることになります。これがプルトニウム239の恐ろしさの正体です。

 セシウム137の半減期はほぼ30年です。これは24000年の800分の一ですから、同じ数の原子があれば、セシウム137はプルトニウム239の800倍の頻度で放射線を出すことになります。セシウム137の原子はプルトニウム239の大雑把にいって半分の重さと見ていいはずですから、スギ花粉の重さの中には約2倍のセシウム137の原子が含まれていることになります。これがプルトニウム239に比べて800倍の頻度で放射線をだすわけですから、そういった微粒子が肺胞に入った場合、その周囲の細胞は相当に高い頻度で繰り返し放射線を浴びることになるのです。少なくともカリウム40のように100日に一回と言った頻度ではなく、その数千倍の頻度であることは確実です。

 最後に、食品とか飲み水中にある放射性物質がどのような影響があるかですが、これも、エアロゾル中に含まれる放射性物質の原子数と同じく、自分が調べた限りではよく分かりませんでした。なぜなら、こういった食品中に単にセシウム137の原子がバラバラに一つずつ均一に分布しているのか、それともある程度の微粒子として固まって存在しているのかが分からないこと。そして、その次に、微粒子で存在するとして、それがどの程度胃壁とか腸管から吸収されるかも、自分が調べた限りでははっきりしなかったのです。(もっとも、土壌中などでは硝酸塩などの化合物になっているということですから、食品中でも基本的にはばらばらになって存在しているはずだと思います。)

 なお、被曝の影響評価に必ず出てくる実効線量にしても、等価線量にしても、局所的な放射線の集中については考慮していないのではないでしょうか。つまり、放射性物質が均一に散らばって存在するという前提に立って、実効線量とか等価線量という値が決定されるようになっているのではないかと思います。そのため、現実に微粒子を体内に取り込んでしまった場合の危険性が非常に低く見積もられてしまっているのだと思います。

2013年07月14日02時15分 武田信弘 ジオログのカウンターの値:26636