2010年の宮崎口蹄疫事件は行政による不作為だけでなく、宮崎大学の獣医学部、農学部、宮崎県内の獣医師、宮崎県内のマスコミ、そして同じく全国の関係者全体が何が本当はおかしいかを知りながら放置した結果起こったものだ。直接の関係者である行政の責任が最も重いが、その他の関係者もその責任を果たしていたとはとても言えないだろう。そして、その結果、多くの家畜の命が無駄に失われ、多くの地元農家の方が苦しみ、更に、1000億もの税金が費やされたという意味で全国民が被害を受けたのだ。
今、福島第一原発事故についてもほぼ同じようなことが繰り返されている。原子炉の地震時の監視カメラ映像や4号炉の爆発時の映像などが隠ぺいされているし、原発作業員の人件費や除染費用の危険手当など年に数百億円を超える規模で誤魔化しが行われてい、それがきちんと追求されていない。
2010年宮崎口蹄疫事件は一応その影響が県内にとどまったが福島第一原発事故はその放射能漏れの影響は全国どころか地球規模になっている。しかも、地震によってかなりの程度原子炉が壊れたことはほぼ明白と言っていいがほとんどそのことについては無視されている。だから、このまま次の原発事故が近い将来起こってしまうだろうことはほぼ確実だ。
宮崎の事件ではその関係者の多くは本当に起こっていることが何かを理解していただろう。そしてその上で自分はあまり被害を被らないからと知らん顔をしたはずだ。しかし、福島第一原発事故では、低線量被曝の影響が何年も遅れて表面化することから既に自分が被害を受けていることに多くの関係者が気がつかれていない。また、このままでは次の原発事故が避けられなことについてもその可能性があまりに甘く見られている。
そもそも、東電の経営陣に事故時の監視カメラ映像を見た人がどれほどいるのだろうか。全国の電力会社の経営陣に4号炉の爆発映像を見た方は存在するのだろうか。事故時の内閣だった菅政権の閣僚の方たちやその後の政権の閣僚の方たちも事故時の監視カメラ映像や4号炉の爆発映像を見られているのだろうか。推測でしかないが、多分、中央官僚を含めて、ほとんどの関係者がこういった情報にアクセスできていない可能性が高い。それほどまでに今の日本は自分自身の運命に対して当事者能力がない。
一番の不幸は、こういった実態を知らされないままやがて来る被害を受けるしかない一般市民だろう。
2013年6月23日01時30分 武田信弘 ジオログのカウンターの値:25636