ここからはこの事件の不自然さについてだ。
1.動機と犯行、及び人物像があまりにも一致しない。パレスチナ問題に関心がある人々は多い。しかし、ユダヤ人を殺すことによって問題が解決すると考えている人々は多分ほとんどいない。ましてやパレスチナ問題に直接的な関係のないフランスでユダヤ人の幼い子供を殺すことは却って反感を買い、パレスチナ問題解決には障害になることはほとんど常識と言っていい。フランス軍兵士も全員が白人ではなく北アフリカ出身者であり、犯人とほぼ同じ人種だ。顔を見れば北アフリカ出身と分かる訳で、昼間犯行が行われたことから見て不自然。犯人とされるMerahは何回かパキスタンへの渡航歴があるとされるが、思想的な背景を持っていた形跡はない。ナイトクラブなどへ出入りしていたとされ、勤め先についての報道がないことからきちんと就職していた可能性も少ない。そもそも15歳のときから15回以上逮捕されているし、現在も無免許で裁判を受ける身であった。2010年から2011年にパキスタンへ渡航しているがその費用をどうしたのかも不明なままだ。
2.アルカイーダの一部組織から犯行声明が出されていると言うが、アルカイーダ全体がまとまった組織を持っているわけではなく、誰でもがアルカイーダを名乗ることが出来る。いわば実体のない、架空の組織とさえ言っていいのがアルカイーダだ。911のアメリカ同時テロを契機に西側諸国の敵として描き出されたのがアルカイーダであり、すでに10年以上の歴史があるにもかかわらず、統一組織を作ると言う動きはない。もし、彼らが本当にアメリカの資本主義に対抗するための組織ならパレスチナ解放機構のような統一機関が作られているはずだ。
3.武器としてマシンガンが使われているが、これは一般人には入手がほぼ不可能であり、単にパキスタンに渡航歴があるだけの若者が入手できるものではない。
4.目撃で犯人の特徴とされているものが2回目のテロと最後のテロとでは食い違っている。また、最初のテロでは被害者の頭部を一発で撃ち抜いたとされるがコルト45は大型のピストルであり、発射時の反動が大きく、よほど扱いになれたものでないと至近距離からの発射であっても的に命中させることが出来ない。45口径とは両手でしっかりと保持して使うものであり、兵士を至近距離から狙えば相手に気づかれて逃げられてしまうはずだ。最後のテロでも少女の髪の毛を片手でつかみ頭部を撃ち抜いたとされるが、たとえ徒歩での犯行としてもなかなか出来ないことのはずだ。
5.パレスチナはある意味イスラエルと経済的な基盤を共有している。毎日パレスチナからイスラエルへ出稼ぎに行くパレスチナ人は多い。もし、テロによってユダヤ人を殺すことがパレスチナ問題の解決に結びつくと現地のゲリラ組織などが思っているとしたら、パレスチナやイスラエル国内で同様のテロが頻発しているはずだ。
結論として、この一連のテロはフランス大統領選挙がらみの作られた事件だと見るべきだと思う。GPS装置がついているスクーターをわざわざ使っているが、まるで自分で居所を警察に知らせるようなものだ。GPSがついていないスクーターもあったはずだ。更に、このスクーターが全てのテロで使われたわけではない様子で、なぜ警察がこのスクーターが犯人のものだと断定できたのかは疑問だ。犯行時の防犯カメラ映像があるわけではなく、その前後の映像があるだけだ。
もし、覚悟の犯行であり、捕まることを予期していたのなら、何もわざわざ銃撃戦をしないでおとなしく降伏し、裁判でパレスチナでのイスラエルの蛮行やフランス軍のアフガニスタンでの犯行をを述べたり、フランス国内でのイスラム系の人々へのベール着用禁止の不合理さを言い立てればいいことだ。自宅の窓からマシンガンを構えて銃撃をしながら飛び出し、包囲している警察の狙撃部隊によって頭部を撃ち抜かれて死ぬ必要はない。そもそも犯人がマシンガンを連射しながら飛び出してくるとき一発で頭部を撃ち抜くのはある程度難しいはずだし、犯人が防弾チョッキを着ていたということを事前に警察が知っていたとは思えない。普通なら足などを狙って撃ち、行動を止めて生け捕りにする。子供たちが殺されて3日後に犯人射殺と言う形で解決したのは警察及びそれを指揮する最終的な責任者である現職大統領に有利なことだ。子供が3人も射殺されたことによる社会不安が高まったところで、事件の背景はともかく犯人を射殺し事件解決に持ち込んだわけで、事件の背景が未解明で終わったことに対する非難よりも速やかに事件解決をしたことの功績が意識されるからだ。