12.ベント後に原発敷地境界での高レベルの放射線が観測され、水素爆発の直後には観測されていないことについて。水素ガスの発生には燃料棒の被膜を作っているジルコニウムが700度とか1000度以上になる必要がある。ヨウ素の融点・沸点とも200度以下であり水素ガスが発生する状況では確実にヨウ素も燃料棒から空気中へ出てしまっている。このことはセシウムも同様であり、ヨウ素よりも沸点は高いが水素が発生する状況では確実にセシウムも原子炉内にガス状になって発生していた。だからベント後に水蒸気や水素ガスとともにこれらの放射性物質が大気中へ排出されて敷地境界での放射能レベルが高くなったのだ。そして、もし、ベントのガスが建屋内に逆流したのなら水素爆発でも同様にヨウ素やセシウムが周辺に拡散したはず。もっとも爆発はかなりの高温を伴ったはずで、敷地境界にまで拡散する前に上空へ昇って行ってしまった可能性はある。しかし、1号炉での爆発はどちらかというと横方向への爆発で、敷地境界までの距離である1キロ程度なら爆風で飛ぶような気もする。3号炉の爆発は規模自体が格段に大きかったので、3号炉爆発の直後の放射能レベルが低いままなのは疑問だ。なお番組で写した放射能レベルの表と同じもののと思えるものがhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Fukushima_Dosis_qtl1.svgで見ることが出来る。

13.大量の放射能漏れが2号機の爆発(?)の後観測されていることについて。1号機や3号機ではベントによって排出された水素ガスが建屋内に逆流した結果爆発したことになっている。それに対し、2号機はベントがうまく行かず結果的に格納容器の一部が破損した結果、格納容器内部のガス化した放射性物質が直接大気中へ放出されたという。事実がはっきりしないのだが、1号機や3号機では格納容器内部のサプレッションチャンバーというところにある水を通してベントをしたようなのだ。水を通すことによってヨウ素やセシウムが水に溶け大気中への放出量を100分の1程度に減らすことが出来るようだ。こういうベントをウェットベントというはずで、ウェットベントをしたのならそうと言えばいいと思うが資料によっていろいろな記載がありよく分からない。もし、1号機や3号機でのベントがウェットベントではないのなら、2号機と同様に高い放射線が測定されていなければいけない。自分は3号機のあの大規模な爆発から考えて2号機の爆発と少なくとも同レベルの放射性物質が3号機の爆発で飛び散ったはずだと思う。2号機から大部分の放射性物質が放出されたとするのは避難遅れがあったので、なるべく被曝期間を短く見せたいと言うことが関係しているような気がする。これらのことは番組で3月12日以降ガスマスクをした男からまだ避難していなかった村民の一人が「早く避難しろ」と言われたとしていたこととも符合するのでは。

14.不明なことはまだいろいろある。1号炉の爆発に比べて格段に大きかった3号炉の爆発が本当に水素爆発なのかとか4号炉の爆発がなぜ起こったかなどだ。2号炉の爆発さえいろいろな仮説を立てることは可能で、実態解明はまだまだできていない。また、津波が来る前に地震で原子炉が壊れたと言うことも随分言われていて、1号機だけではなく他の原子炉も規模の違いはあろうが被害を被っていたはずだ。その意味で原発の安全性の確立は全くできていないと言っていい。だから、少なくとも全国の原発の運転再開は時期尚早だ。

15.なお、このテレ朝の番組についてのブログ記事があまりサーチエンジンで引っかからない。かなりいい報道だったので、もっと多く話題に上っていてもいいはずであり、未だにサーチエンジンであまりかからないのは不自然だと思う。またベントが逆流したと言うことはほとんどマスコミのニュースとしても取り上げられていない。テレビニュースとしてきちんと報じたのは番組翌朝の6時のNHKニュースだけのように思う。背後には東電のへまを報道するなという圧力があるのではないか。その点、テレ朝は正面からこのことを取り上げた番組を作成したし、NHKは朝のニュースだけとはいえきちんと報道したのは立派。

*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<931>>