原発事故の背景には日本全土が地震の活動期に入ったことがある。特に311の地震は2004年のスマトラ島沖地震とほぼ同規模で日本各地で今後少なくとも5年間以上マグニチュード7を超える地震が頻発することを意味している。そしてその結果、たとえ運転を停止していたとしても原発の直下でマグニチュード6を超える地震が起き、それが福島第一原発事故と同程度の事故で済んだとしても風向きの関係で首都圏や関西、中部などの日本の中枢部を居住不能にしてしまうだろう。福島第一原発事故は西風が卓越している日本の東部の海岸沿いで起こった。だから、漏れた放射性物質の99%は太平洋上へ流れた。もし、関東以西にある原発が事故に至れば、それより東にある地域は福島県の数百倍から数万倍以上の規模の放射性物質により汚染され確実に居住不能になる。
しかし、これらに対処する道もある。それは地熱発電だ。地熱発電は日本の全電力をまかない、積雪地帯での冬季の地域暖房や農業を可能にし、地下深く設けた各種センサーによって地下の温度や地下水変動を観察することにより地震予知も可能になって行くのだ。
地熱発電は天候による出力変動がない。つまり、太陽光や風力発電では発電できない期間があるのでそのためのバックアップ発電施設が必要になるが、地熱はその必要がない。輸入燃料に頼ることもない。因みに資源エネルギー庁はウランを全量輸入に頼っているにもかかわらず、原発を自主エネルギーと位置づけている。モノを燃やさないのでCO2も排出しない。そして何より、初期コストはかかるが、ある程度日本全国で開発が進めば、発電コストは飛躍的に低減し、現状の電気代を半額程度にまで下げることができる。現状では山奥で地熱開発をしたとき、そこまでの道路や送電網の整備に数百億円かかる。しかし、ある程度開発が進めば、そういった道路や送電網を少しだけ拡張することで済むからだ。現実に主要設備で減価償却がほぼ終わったいくつかの地熱発電所では1kw時8円以下で発電できている。
地熱発電を大規模に行えば、原発をすべて廃止することもできるし、毎年数十兆円の化石燃料輸入代金を払う必要もなくなる。基本的に温泉設備を併設できるから、日本全国どこでも低価格で温泉利用が可能になる。また、地熱施設を中心に地域開発を行えば高齢者に優しい、高齢者が自分のペースで生産活動に従事できる社会が創造可能だ。
しかし、残念なことに日本は地熱開発に進んでいるようには見えない。それどころか、福島第一原発事故の原因究明もあいまいなまま、全国の原発再開に向かいつつあるように見える。現在、どの程度の放射性物質が原発から放出されているのか、その観測もきちんとはやられていない。プルトニウムなどのα線を出す放射性物質についてはほとんど調査そのものが行われていない。低線量被爆についてはその影響が広島・長崎の原発投下やチェルノブイリ事故で解明されているはずだが、実態ははっきりしないままだ。そもそも低線量被爆についてかなり簡単に各種の実験ができ、例えば人間の細胞を採取して実験室で低線量被爆の影響を数年間にわたり観察することもできるはずだ。
原発を再開するよりは停止・廃止にしたほうがいい。このことは原発を停止・廃止することにより節減できる費用が稼働・維持をしたときに生まれる利益よりも多いことからはっきりしている。このことは10月8日(土)の朝の読売テレビの番組で専門家が明言されている。
ではなぜ原発廃止に向かわないか。それは原爆保有国のエゴがあるからだ。原発を廃止してしまえば、原爆保有に関わるウラン採掘や核廃棄物の問題が表面化する。原子力発電所があるから平和利用のためにウラン採掘も核廃棄物も電力供給という平和目的の影に隠せる。また原爆使用時における長期地球環境汚染の問題を隠すために、低線量被爆の影響は明らかにされないのだ。