地熱発電所一か所を5万キロワット時の発電能力があると仮定すると、稼働率90%として年間発電量は4億キロワット時程度になる。5000億キロワット時の発電には1250か所の地熱発電所が必要になる。日本には5400ほどの高校があるから、その4分の1程度の数の地熱発電所ができれば済むことになる。

 現実の地熱発電施設は発電容量が1000キロワット以下で既存の温泉に付属して設置できるものから1か所で10万キロワット程度まで、発電方法も従来のフラシュ発電やバイナリー発電だけでなく高温岩体発電やマグマ発電までが既に実現できるところまで来ている。

 現実的な選択として当面LNGによる火力発電が増加するようだ。しかし化石燃料の輸入代金は2008年で23兆円かかっている。今後石油や石炭、LNGの値上げにより年間輸入代金が現状のままであっても30兆円を大きく超えることが予測されていて、日本自身の高齢化と新興国の工業化を考えたら数十兆円規模の輸入代金の負担が今後の日本にできるとは思えない。

 地熱発電は国立公園内での開発が実質的に禁止され環境影響調査が何年間分も義務付けられるなど政策的に新規開発ができないような状況に追いやられているが、燃料を輸入することも燃やす必要もなく、天候に関係なく安定した発電が可能だ。地震の影響を受けて大規模な災害を起こす可能性は全くない。それどころか、CO2を全く排出せずCO2 の削減目標達成に貢献するし、2000mほどの井戸を掘るので地下の温度変化や地下水水位の変化の観察が可能になり地震予知に役立つ。太陽光のような高価な発電ではなく、今後国立公園内での送電網や道路網が整備されていけば飛躍的に建設コストが低下する。地域へ温熱供給が可能になるので積雪地域での地域暖房や温室農業ができる。温泉に比べて格段に深い泉源を利用するので温泉に悪影響を与えることもなく反対に湯量が少なくなった温泉へ地熱井戸からの配湯ができるし、新規に地熱発電所併設の温泉施設も可能だ。

 地熱発電施設の世界シェアの半分以上は日本メーカーが持っている。地熱資源国はどこでも今急速に開発を進めている。日本だけなのだ、地熱資源があるのにそれの利用が止まってしまっている国は。

 現在、「原子力政策大綱」の見直し作業を原子力委員会が再開しようとしている。経済産業省の総合資源エネルギー調査会も「エネルギー基本計画」の見直しを今月から開始する。依然として原発維持にこだわるのか、それとも、現実を見据えて大胆に地熱開発に舵を切るのか、日本がアメリカの植民地としてこのまま滅びることになるのかどうかが今問われようとしている。

 原子力政策大綱やエネルギー基本計画の審議の公開、インターネット中継がまずは必要だ。マスコミは今きちんと報道をしないと、近い将来日本社会が窮乏化して倒産するだろう。一般市民としても高価で危険な原発は止めて日本や世界にとり一石五鳥にも六鳥にもなる地熱発電を進めることを社会に発信していく必要がある。

 最後に地熱発電を日本に勧めるれスター・ブラウン氏のインタビュー映像を紹介しておく。http://www.videonews.com/special-report/031040/002062.php

*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<754>>