原発上空飛行禁止の意味(二つの隠ぺい)  

 国交省は3月15日、福島第一原発を中心に半径30kmの上空飛行禁止を決めた。高度に関わらず飛行禁止にしたのは国内で初めてであり、世界で例があるかどうか、自分には分からない。しかし、もし、これが、「航空機は、外気を取り入れて機内の気圧を保つ。このため、放射性物質が浮遊している上空の飛行により、乗客乗員が被ばくする恐れがある」ということなら、この理由付けには疑いを抱かざるを得ない。

 地表近くを流れる場合よりも上空は格段に拡散しやすい。旅客飛行機は普通10000mとか20000mを飛ぶ。空域によっては、もっと低い場合も高い場合もあるようだが、数百メートルではない。だから、そもそも、普通ならあまり濃度が高くないはずで、飛行禁止にする必要がない。

 福島第一原発を中心に半径30kmだから、最大飛行距離は普通は60kmだろう。これは新幹線で行ったとしても10分ほどだ。飛行機なら数分でこの範囲を通り抜けてしまう。この間、高度を変えたりして、外気の取り込みが必要だったとしても飛行機の中の空気が丸々入れ替わるわけではない。そもそも、飛行機の中は気圧が高めに設定されていて、基本的に外気と入れ替えは行えない。車の窓を開けて置けば自然に外気と車内の空気は入れ替わるが、飛行機は外圧と内圧が異なるのでそういうことはできない。だから、もし、放射性のチリなどが大気中にあるのなら、その空間を通る時だけ、大気の取り込みを止めればいいのだ。多分、よほど気圧が変動しない限り、常時外気の取り込みをする必要なない。つまり、半径30kmを飛行禁止にするよりも、単に飛行機に注意を促して、この範囲を飛行するときは外気の取り込みを止めるようにすればいいのだ。仮にこの空域で外気を取り込んでしまっても、高度10000m以上なら相当濃度は薄くなっていて、しかも、飛行機から降りてしまえば、もう関係なくなる。更に、このエリアは札幌から羽田へ向かう航空路にほぼ重なる。30kmの幅で、この航路の幅がこの地域だけで狭くなるのは、それだけで危険性がある。

 では、なぜ、原発上空を高度に関わりなく飛行禁止にしたのか?多分、理由は二つある。一つは上空からの写真撮影を避けるためだ。原発の現場写真はほとんど公開されていない。公開されたのは、衛星からの写真と消防関係者が消防車内部から撮影したもの、そしてヘリコプターで水をかけるときにヘリコプター内部から上空からの映像を撮影したものだ。11日の事故当初から現場で作業されてきた方たちが取っているはずの現場写真は一切公開されていないし、原発の建物内部の地震後の写真も一切公開されていない。また、作業員の方たちの記者会見も全くされていない。本来、放射線の強い現場では、1時間も作業すれば一年分の許容量を浴びてしまうので、その後一年間は作業できない。だから、普通なら既に数百人規模で現場から帰ってきている方たちがいるはずなのだ。つまり、現場の状況・事故の実相が隠ぺいされている。

 もう一つの理由は、原子炉建屋上部から放出されている放射性物質の量があまりに大きく、それを隠ぺいするためだ。震災復興の援助のため米軍の空母が福島沖へ来たが、すぐに原発の風下を避ける位置に移動した。ヘリコプターで原発に水をかけるとき、原子炉建屋の上空でホバリングできず、移動しながら水を撒いたため水が霧状に広がりほとんど原子炉建屋にかからなかった。原子炉建屋の上空数十メートルに一分間もホバリングできないほど強力な放射線が出ているのだ。使用済み燃料保管プールに入っている燃料が水位が下がったため空気中に露出。そこで燃料棒のジルコニウム被覆が空気中の水蒸気と反応し、水素を作り出す。同時に燃料棒自体も劣化し、放射性ヨウ素などを放出する。