宿泊料金がある程度高い宿は、
建物、温泉、料理、もてなしの
総合点がモノをいう。
中でも印象を左右するのが料理。
食材、調理、盛り付け、器、給仕と、
すべてのバランスがとれていないと、
いくらいいものを取り揃えても芳しくない。
また、口にするのは人間。
体調や気分や好みで、
感じ方は千差万別だ。
だから、旅館の料理は難しい。
評価の高い宿は、
それに果敢に挑戦している。
「庭園の宿 石亭」もそのひとつ。
そう実感した夕食。
客室に最初に用意されたひとそろい。
なんとおめでたい図柄の盃。
春の味覚が食欲をそそる。
茅葺の家の焼き物の中には、ままかり(だったっけ?)
こちらはナマコだったっけ?
それよか土筆がうれしかった。
酒器はどっしりとした土もの。
季節はまだ早春だったし、
料理の器によく合ってる。
そうそう、鱧鍋もあった。
多からず少なすぎず、
本当にちょうどいい量。
お造りはオコゼ。
ブサイクな魚は、何とも言えぬうまさがある。
これは白子をクリーム仕立てにしてあって、
界なんかが入った和風シチュー。
見た目よりずっと淡白で、滋味満点。
野菜の炊き合わせに漆ってのがいい。
さて、これはなんだったっけ?
3~4か月も前のことだから、と言い訳。
伊勢海老のウニ焼きって聞いてたけど、
ウニがそのまんま乗っかってるやん!
見たまんまの、ごっつい贅沢な味でした。
しめは季節の炊き込みご飯。
おしんこも過不足なし。
メバル(だったと思うけど)のあら汁。
赤だし仕立てでめっちゃ上品。
デザートはあっさりアイスとフルーツとミニ大福。
すごくいっぱいあったように見えるけど、
次から次へと、
ジャストなタイミングで運ばれてくるので、
食べ終わって満腹を知るってな感じ。
瀬戸内海に面した宿らしく、
魚介類と野菜で構成された献立は、
おなじみのものから目新しいものまで、
幅広く、バランスよく整っていて、
みごとな献立だった。
改めて写真を見直してみて、
まごうことなき「石亭」スタイルが
貫かれていることを感じた。