日奈久温泉にはちくわ以外に有名なものが
と言うか、有名な宿泊施設がふたつある。
ひとつは、日奈久温泉繁栄の歴史を、
ずっと見守り続けてきて昨年創業百年を迎えた、
木造三階建ての宿「金波楼」
木造建築を維持するのは大変なこと。
それを受け継いでいることが素晴しく、
そんな宿が日奈久にあることは、
温泉街にとっても有意義なことだと思う。
もうひとつは、今はもう廃業した、
木賃宿「おりや」。
奥に見える黒いシルエットは、
漂泊の俳人・種田山頭火。
彼はかつて「おりや」に泊って、
木賃宿とは、簡単に言うと、
寝るところだけ提供してくれる宿。
行乞をしていたという山頭火は、
宿代も惜しんでいたはず。
雑魚寝だったのかな?
思いっきり時間をさかのぼった感じが、
リアルに迫ってきて、感慨深い。
廃業後も昔のまま保存されているこの建物は、
現在、温泉街の管轄下にあって、
喫茶店「ケント」や観光協会に言うと、
鍵を貸してくれて、見せてくれるシステム。
ちなみに、山頭火の自由律俳句を
いろいろと読んでみたら、
めちゃめちゃ潔く、わかりやすく、
共感できるものが少なくなかった。
分け入っても分け入っても青い空
有名な一句だけど、背景を知らなかったので、
イマイチぴんとこなかった。
行乞中に詠んだと考えると、
じわじわと深い意味が浮かんでくる。
けふはよいたよりがありさうな障子あけとく
これは居を構えたときの句か。
ちょっと気分のいい日だったんだろう。
濁れる水の流れつつ澄む
座右の銘にもなりそうな一句。
うんうん、そんなもんだよ。



