この何日かの間に、めっきり秋らしくなった。
と思ってたのも束の間。
昨夜の東京は木枯らし1号が吹き、
寒風が肌の奥まで差し込んでくるようだった。
若い頃は寒い季節は苦手だったけど、
近頃はひんやりとした空気がうれしく感じられる。
これも老化の一種?
もう何年前になるか覚えてないけど、
晩秋の頃、木曽路を旅したことがあった。
色鮮やかな紅葉の山に囲まれながら、
浮き立つこともなく静かな集落の数々。
紅葉というと京都を思い出す者にとって、
それはとても厳粛な様子に感じられた。
旅の中で印象的だったところは、
中山道の宿場町の面影を残す、奈良井宿。
どこまでも続く宿場の街並みは、
オープンセットのようにも見えるが、
それぞれの建物で人が立ち働いていて、
街全体が生き生きと呼吸しているようだった。
大根を並べて干してるのは、漬物の準備か。
古式蒼然たる家々もよく見ると、
昔ながらのリズムとライブ感がいっぱいだ。
宿場町だったところの人々は、
昔から人を迎えてきたことから外向的で、
客とのコミュニケーションがうまいと聞く。
だからだろうか、飲食店や民芸品店など、
宿場町の名残は、
今も宿が多いところにも表れている。
旅館より民宿のほうが多いのだけれど、
「江島屋」をはじめとして、
いずれも郷土料理と素朴な人情でもてなし、
料金以上の満足感を与えてくれる。
晩秋が好きになったのは、
奈良井宿のおかげかもしれない。