オレの出身地・福岡県は、
原鶴温泉のようにいい泉質の湯はあるものの、
すぐれた温泉宿不毛の県だった。
そりゃあ、ちょっと足をのばせば湯布院や黒川、
武雄や嬉野といった温泉地があるから、
端からやる気がなかったのかもしれない。
それが、久留米の三潴に、
食にこだわった隠れ宿ができたと聞いて、
期待いっぱいで出かけてみた。
「ふかほり邸」 という名の宿は、
観光地でもなんでもない、
普通の田園・住宅地の一角にあった。
こちらの主人は、雑穀米など、
健康食品で成功した「ベストアメニティ」の社長。
この地にあった庄屋さんの土地屋敷を、
そのまま受け継いで、
古い屋敷の梁や柱を再利用して母屋を改築。
日本家屋本来の姿で迎えられた。
母屋にはフロントとロビーがあり、
食事処につながっていた。
室内は古民家のように梁がむき出し。
インテリアや調度にモダンな味付けがある。
とは言っても、基本は完全に「和」。
庭木の間にはテーブル席が用意されていて、
和めることこの上ない。
母屋の周囲には、
囲炉裏を囲んだ休憩スペースや図書室、大浴場のそばの湯上り処のほかに、
陶芸やそば打ち体験ようのスペースの上には、なんと卓球場まで!
敷地内では天然酵母パンと純粋な豆腐を取り扱うショップもある。
広い庭は、自然の木立のように植栽がなされている。
まだオープンして時間がたってないから若い樹木が多いけれど、
各種の柑橘類をはじめとした果樹、花木が多いのが特徴。
実ってるミカンを食べてみたら、まさに自然そのままの味!
それぞれの木に名札がついているのも親切だ。
庭の奥には自家菜園があり、鶏舎のそばにはヤギもいた。
ヤギというと沖縄では食用のイメージが強いけど、
このヤギはいただき物で、とりあえずここで育てているだけらしく一安心。
自家菜園を管理しているのは、農大出身の若い男性スタッフで、
宿の食事に使う分はここでゆうにまかなえているらしい。
地産地消どころじゃなくて、自産自消ってとこか。
スゲエ。
ざっと見たところ、先行旅館のいいところを
ぎゅっと凝縮したような行き届いた施設で、
感心するほかない。
そういう点は、新しい宿のメリットか。
施設は十二分。
では、もてなしはいかに……。












