オレの仕事先にいたバイト君の話は、
これまで2回、日記に書いてきた。
バイトをやめて初めての海外旅行に挑戦した彼は、
仕事仲間であるA氏に相談して、
バックパッカーの装備でタイへ旅立った。
A氏は大学卒業後、単身フランスへ渡り、
そこを基点にしてヨーロッパから、
北アフリカを転々と旅した経歴を持つ。
A氏がバイト君にしたアドバイスは、
ホテルや現地ツアー、交通などの予約はせず、
すべてタイについてから自分でアレンジすること。
バックパッカーだから、
持って行くのは1~2日分の下着だけにして、
必要になったら現地調達すること。
もちろん、かなり誇張して言ってるわけだが、
どこまでも素直で人を疑うことを知らないバイト君は、
それをちゃんと守って一人旅に出かけたらしい。
(元同僚のバイトの子に連絡があったらしい)
彼がいかに人を疑うことを知らないかという
エピソードにこんな話がある。
就職活動用のスーツを買った彼は、
「スーツってのは一度に2着買うものなんですね」と言う。
で、2着買ったのかと聞くと、即座に、「はい!」
まんまと販売員の口車に乗せられていたというわけだ。
A氏とふたりで大笑いしたものの、
やがて、大丈夫なのか心配になってきた。
帰国予定日を過ぎて元同僚バイトが電話しても、
電話が通じないと聞いて、また焦るふたり。
その後、元同僚バイトに彼から連絡があったそうで、
仕事場におみやげを持って来たいとのこと。
その当日、たまたま居合わせたらば、
バイト君は日焼けして精悍でか険しい顔になっていた。
旅の顛末を聞いたら、
最初に乗ったタクシーからトゥクトゥク(三輪タクシー)まで、
ボラれまくったんだとか。
タイってところは、値段交渉が付き物なんだけど、
そういうのが苦手らしく、言い値で払ってしまってたのだとか。
それで軽い人間不信に陥ってしまった彼は、
バンコクの次に訪れたアユタヤで、
一切乗り物を使わずに一日中歩き続けたそうだ。
で、3日目に帰国したいと思い、旅行会社に電話したけど、
フライトが変えられないチケットだからダメであきらめたらしい。
現地で撮った写真を見せてもらってたら、
一人旅らしく、自分の写真はすべてセルフ撮り。
引きで撮ってるやつは、
現地ガイドに撮ってもらったもので、
会話したのはその人だけだったとか。
で、A氏に買ってきたお土産は、
テニスのラケットの形の虫取り機。
でも、それがもうずいぶん前から
日本で売られてると言われ、さらに意気消沈。
旅の感想を求めると、
「自分は東南アジアには向かないみたいですね」と、
うつむきがちに答える。
次はどこに行きたいか聞くと、
「アメリカかイギリスですかね」。
バイト君の旅は全然面白くなかったらしい。
でも、人を恨む風でもなく、
淡々としてるところが彼らしい。
ま、自分の適性がわかっただけでもよしとしてくれ。