東宝劇場で宝塚月組公演「ミーマイ」を観てきた。
パンフによると、ロンドンでの初演は1937年。
宝塚では剣幸のビル、こだま愛のサリーで1987年初上演。
年に二回の本公演(宝塚大劇場、東宝劇場での公演)は、
異なる演目を上演するのが常のところを続演。
実力者揃いの上、配役もところを得て、
今でも伝説のように語られるヒットを記録した(らしい)。
再演は1995年、天海祐希のビル、麻乃佳世のサリーで、
トップコンビのサヨナラ公演でもあって大ヒット。
これはビデオで鑑賞したのみ。
その直後に中日劇場で、次期トップコンビの
久世星佳のビル、風花舞のサリーで再演。
前トップコンビよりもよかったという声を多く聞いたが、
これはビデオも出なかったんで未見。
今回も、残すところあと一週間。
またまた縁がないのかと思ってたところ、
友達からチケットを融通してもらって、
やっと劇場で観る機会を得たというわけ。
ビデオで観たときの印象は、
作品としてよくできてはいるんだけど、
出演者の多くがこなしきれてなくて、
というか、主役が酷すぎて、
不快感を覚えたほどだった。
ただ、所詮はビデオであって、
実際に劇場で観てみたら、
舞台の魅力が表現できてなかったことを知った。
それは、主役クラスをクローズアップしているときの、
映らなかった人々に負うところが大きい。
オリジナルじゃないから役が少なく、
役名もない出演者がそれぞれに、
精一杯役を表現している姿がそこここに観られて、
目がひとつじゃ足りない!
で、今回のビルは瀬奈じゅん、サリーは彩乃かなみ。
宝塚初演を観てないので比較はできないが、
前回よりははるかに良かったことは間違いない。
瀬奈じゅんはこれまで軽妙な役柄が続いていたので、
それが幸いしたのか、それとも邪魔をしたのか、
すっかりお手の物という感じ。
いやみのない人柄が感じられてよかった。
この公演で退団する彩乃かなみは、
もう何の悔いもないんじゃないかと思えるほど。
観てるこっちはしんみりしちゃってたりするんだけど、
有終の美を称えたい。
今回一番楽しみにしてたのは、
宝塚初演で大評判だった、
専科の未沙のえるさん演じる弁護士パーチェスター。
こりゃスゲェ!!
ちょっとした動きにも面白味があって、
自分のナンバーでは場をさらうんだけど、
脇となる場面では存在感すらなくしてしまうほど。
本当にこの方、凄すぎ!!
あと、またまた見直したのが、
ジャッキーの城咲あい。
こないだ日本青年館でやった役も良かったけど、
今回は輪をかけていい。
ジャッキーは主役ビルのいとこにあたる中年の独身貴族女性。
財産目当てで色仕掛けで迫るシーンもあったりして、
初演では涼風真世、再演では真琴つばさ、
中日劇場では樹里咲穂と、必ず男役が受け持ち、
今公演でも若手男役・明日海りおとダブルキャスト。
娘役の彼女にとっては非常に不利な状況だった。
それがそれが、やはり娘役にも熟練がいるもので、
台詞や身のこなし、歌にダンスと、女そのもの。
(女性なんだから当たり前のことだけど)
それでいて下品に見えることもなく、
こういう人いそう、と思わせられたのには驚いた。
明日海りおはこの日は令嬢役。
誰かが、檀れいに似てるといってたけど、
たしかにおっそろしい美人。
だけど、終幕後に青樹泉、龍真咲の2人の先輩男役に挟まれて、
娘役として登場したときには、
檀れいよりも前組長・。夏河ゆらさんに似てると思った。
で、両隣の男役より顔が大きく、はるかにゴツく見えて、
娘役への転向を拒んだのは大正解。
ジョン卿の霧矢大夢はオッサン役なんだけど、
これが思いの外よく似合ってた。
博多座ではこの人がビルをやるんだから、
できるなら観てみたい。
マリア叔母さんは、やはりこの公演で退団する、
現在の月組組長・出雲綾。
イギリス貴族とはちょっと感じが違うんだけど、
舞台をしっかり引き締めていて、
こちらも、思い残すことナシって雰囲気。
意外な難役・ジェラルドは遼河はるひ。
あまり芳しくない評判を聞いていたけれど、
長身で金髪で、華やかな部分をひとりで受け持ってるようで、
オレ的には特に問題なし。
幕開きのコーラスが揃ってなかったり、
翻訳に不満な部分があったりもしたけれど、
全体的には、宝塚にぴったりの作品だった。
月組で、ほとんど文句の付け所がない作品は、
エリザベート以来じゃないかな。
って、座付演出家は何やってるんだか……。
自分で意外だったのが、
いくつかのシーンで涙腺がゆるんだこと。
別に泣かせるようなシーンじゃないのに。
この公演を観ることができてよかった~、
と感慨にひたっていたら、
知り合いに誘われて、千秋楽を観ることになった。
よし、あと一回観られるぞ!