両国には国技館があり、
相撲部屋があるからといって、
昔からちゃんこ料理屋が
軒を並べていたわけじゃない。

むしろ昔はちゃんこ料理屋なんて、
なかったらしい。

だって、力士は部屋で食ってるから、
外に行ってまでちゃんこは食いたくないし、
一般の人にとっても、

ありがたみを感じるものでもなかったらしい。

ちゃんこ料理の店が増えたのは、昭和の後半ぐらい。
ある種、ブーム的に広まったらしい。



そんな両国にあって、創業300年を数える、
真の老舗がある。

その名は「もゝんじや」。


外観を見てわかると思うけど、
猪が食える店だ。

「ももんじ」とは漢字で「百獣」と書き、
「もゝんじや」は獣肉を取り扱っていることを表す屋号。

昔は猪のことを「山くじら」と呼んでいたそうで、
その名残りは看板に残されてるし、
江戸時代の浮世絵にも描かれている。

日本人が牛や豚を食うようになったのは
近代になってからのようだが、
江戸時代から肉食の習慣はあって、
猪や鹿、熊は珍重されていたらしい。

ある意味ジビエじゃん!


昔、南信濃で同様の店に行ったことがあって、
そちらでは「山肉」と称していた。


その店に入ると、獣の匂いが充満していて、
ちょっと引いた覚えがある。

「もゝんじや」は店の横に猪の剥製がつるされてて、
あの匂いを思い出し、実際に足を踏み入れるときは
ちょっと警戒した。


でも、そんなの杞憂。
やな匂いはゼロ!

ホッ……


で、こちらの名物は猪のすき焼き。


きれいな赤身と脂身のバランスは、
美しいと言いたいほど!

猪というと、猪鍋。
伊豆なんかで盛んに食されていて、
オレも結構食ったことがある。

だけど、あれらは実は「猪豚」らしく、
養殖されているものなんだとか。

こちらの猪は野生のみの純正猪(?)で、
今は主に丹波産を使用している。

丹波はご存知のとおり、黒豆や栗をはじめ、
豊富な農作物で有名なところ。
イベリコ豚がどんぐりのみを食って、
おいしくなるように、
丹波の猪はおいしいものを食って育ってる。

だから、一味違うのだとか。


割り下を沸騰させたところに、
猪を入れて割り下をからませながら火を通し、
ひとしきり煮込んだところに残りの具を入れる。

猪はじっくり火を通すとそれだけ美味くなるそうで、
最低でも10分は煮込む必要がある。

で、いよいよいの純正猪を食ってみたら、
これが、伊豆なんかのとは全然別物!

まず、脂身が美味い!!
脂っこさは全然なく、味はみっしり!!

肉の部分は多少硬めだけれど、
噛むたびに味がギュッギュッとにじみ出てくる。

これ、牛や豚よりずっとヘルシーなのでは?

値段は¥4000~とそれなりだけど、
この美味さは病み付きになるかも。


「もゝんじや」 が300年続いてるのも、うなづける。